台湾旅行一日目(4)。台北車站から総統府へ。ドラゴンフルーツと台湾ビールもいただきます
台北車站周辺から、大通り沿いに南に歩いていきます。
次第に日が落ちてきました。
趣きのある建築を見ました。
入口に「監察院」と表札が出ています。
行政機関の施設なんですね。
官邸にあたる総統府を始め、行政機関が集まるこの界隈です。
薄暗くてわかりづらいですけれど、一帯は東京の霞ヶ関のような雰囲気なんですね。
どことはなしに圧迫を感じます。
ここでも方向感覚の鈍い私はうろうろと、さ迷いました。
政府関連の施設中心で商業施設の無い区域ですので明かりも少なく、街灯ばかりが頼りです。
交差点の中心に現れた門、東門(景福門)ですね。
総統府を守っているのですね。
ここから西に歩いて、その総統府を拝みに参ります。
総統府に近づくにつれ、道端に停車する警察車両の姿も増えてきます。
ものものしい雰囲気です。
ライトアップされているんですね。
警戒厳重で、楽しく観光する雰囲気でもないのですけれど、それでもこういう案内版が立ててくれてあります。
総統府のベストショットを撮れる場所があるそうですよ。
私はここまで近づいて撮るのが限界でした。
車道を渡って向こう側にも行けるのです。
ただ総統府の敷地内にはライフルを構えた憲兵の方々が直立して厳しい視線を周囲に向けておられるので、おっかなくて至近距離から撮影なんてできません。
それで至近距離では目視で総統府の建築を眺めましたが、日本の統治時代に建てられたレトロ建築で、風情のある建物でした。
また後日、明るい時間帯に再訪したいと思います。
歩き疲れましたので、台北車站の北にある宿まで帰ってきました。
その途中、宿の近くに遅くまで路上で営業している果物店を見つけたので、これを買ったのです。
私の好物、ドラゴンフルーツ(火龍果、Huǒ lóng guǒ)であります。
以前、香港旅行の際に食べてからやみつきになり、以後日本に帰ってからも折々に手に入れては食べていました。
あっさりした控えめの甘さとみずみずしく柔らかい果肉、そしてぷちぷちした小粒な種の食感がたまらないのです。
台湾産のドラゴンフルーツは、どんな感じなのでしょう?
皮を剥いてみると、こうでした。
果肉が赤い!
今まで食べたドラゴンフルーツは果肉の白いものばかりでしたので、新鮮な気持ちでした。
食べてみたところ、こちらの方が甘さも若干しっかりしているように思いました。
美味であります。
ドラゴンフルーツのお供に、こちらも忘れてはいけません。
コンビニで買っておいた台湾啤酒(Tái wān pí jiǔ)のブランド、金牌(Jīn pái)です。
台湾に来たらこれを飲まなければ、と思っていたのです。
苦味はそこそこ、あっさりして飲みやすいビールでした。
二本目はこちらを。
マンゴー味です。
台湾啤酒、このマンゴー味以外にも蜂蜜味、ブドウ味にパイナップル味などいろいろな種類があるんですね。
このマンゴー味、予想した以上の美味しさでした。
私は普段フルーツ味のお酒は飲まないのですが、このフルーツ風味の台湾啤酒はかなり好みです。
ビールの味がちゃんとあるうえにフルーツの甘みと香りが加わっていて、美味しかったです。
他の種類もいろいろと試してみたくなりました。
夕暮れ時に胡椒餅を食べて以降、まだ夕食らしい夕食を食べていませんでしたが、ドラゴンフルーツと台湾啤酒二本とでお腹がふくれました。
台湾旅は初日からよく歩いたのです。
明日に備えて、もう寝てしまいます。
価格:4,800円 |
台湾旅行一日目(3)。美味しい胡椒餅。台北車站の周辺を歩く
台北の市街地に戻ってきました。
今夜の宿をなんとか確保できましたので、次はごはんを食べる場所を探して、台北車站周辺をうろうろします。
降り続く雨。
バイク大国台湾を象徴する写真を撮ろうと、バイクが並んで停まる交差点にカメラを向けたのですね。
そこで気付いたのですが、横断歩道を渡った先に気になるお店があるのです。
青信号を待って横断歩道を渡りました。
胡椒餅(Hú jiāo bǐng)のお店、「饒河街の」福州世祖胡椒餅でした。
胡椒餅とは、胡椒と辛いタレで味付けした豚肉とネギから成る餡を、小麦粉の生地で包み、窯でカリカリになるまで焼いた食べ物なのです。
私も台湾に来るまでにネット情報等でその美味しさについて聞いていたんですね。
ぜひともその胡椒餅、食べてみたいと思います。
店員の若いお兄さんたちが生地をこねたり窯に仕込んだり、合間にお客の誘導をしたり。
店の前の狭い通路に、胡椒餅を待つ人たちが並んでいます。
そうして待つお客の間から日本語の会話も聞こえてきました。
日本でも有名なお店なのかも?しれませんね。
私の順番がまわってきたので、50元(約200円)支払って胡椒餅をひとつお願いします。
手渡すときに店員さんが「熱いよ!」と日本語で声をかけてくれました。
受け取ると、実際に、袋越しでも手が熱い!
やけどしそう。
しかし、出来立てで生地のいい香りがするのです。
生地には白胡麻もまぶされていました。
私はおなかが空いております。
生地を割ってみましょう。
やけどの心配しながら、生地に穴を開けました。
香りを知ろうと鼻先を近づけると、中から来る熱気がかかります。
しかしいい香り。
歯応えがあってわずかに甘さのあるパリパリ生地と、胡椒とネギの風味が効いた辛口の餡。
肉汁にも旨味があります。
とても美味しいですね。
出来るなら毎日おやつに食べたいぐらいです。
何とはなしに、その味付けには大阪名物の「551の豚まん」を連想させるところがありました。
幸せな気持ちになってしまいました。
美味しい台湾グルメでおなかが満たされて気分もよくなりました。
今夜はしばらく周辺の散策を続けて参ります。
しばらく前にバス停を探してさまよい歩いていた頃よりも若干雨足が弱まり、心の余裕があります。
台北車站の大きな駅舎が散策の基点であります。
なんとなく、東京の上野駅周辺を思わせる街の雰囲気であります。
台北車站から、博物館ですとか公園ですとか周辺の各種文化施設へのアクセスもいいのです。
大きな建物に惹かれます。
台北車站の駅舎前。
写真を撮りながらうろうろしてたら、通りがかった中年女性に何か話しかけられました。
私も中国語は少し勉強してきましたが、人に話しかけられて内容を理解できるほどではありません。
苦し紛れに"I don't understand."と答えたら「我不知道!」と言い返され、去られてしまいました。
「我不知道(Wǒ bù zhī dào)」は「わからない」って意味です。
こちらの「わからない」に女性も「わからない」で返してきたのですね。
変な感じで取り残されて、だったら最初からこちらが我不知道と言っておけばよかった、と後悔。
外国に行くとお年寄りに話しかけられることは多々あるのですけれど、台北では老若男女問わずよく話しかけてきます。
滞在中、何度も話しかけられました。
これはたぶん台北が台湾の各地方から人が集まってくる土地柄だからかも、と想像しました。
おそらく道を聞かれているんだと思うんですね。
しかし中国語がわからないと、相手が何を言っているのかわかりません。
裏を返せば、中国語がわかれば台北で使う機会は結構多いということかもしれません。
簡単な中国語でもいいから話すようにすれば、コミュニケーションの糸口になるかもしれませんね。
そんなコミュニケーションの機会を逸しました。
今後は私も我不知道でも何でもいいから知ってる中国語を使うようにしよう、と心構えを新たにしたのでした。
散策を続けます。
正宗胡椒餅(こしょうもち)(トースター調理用)台湾夜市B級グルメNo.1★横浜ウォーカー編集長イチオシの今年絶対に流行る食べ歩きグルメ1位獲得! 価格:453円 |
台湾旅行一日目(2)。故宮博物院を早足で
路線バスに乗って、台北市の郊外に来ました。
雨降り、なおかつすでに黄昏時にも関わらず来場者の絶えない、國立故宮博物院であります。
中国の歴代皇帝が所有していた各種の美術品等を収蔵している、博物館なのですね。
どうして台湾にそんな品々があるのか?
そこには経緯がありまして。
中国での共産党との内戦の結果、台湾に移ることになった国民党が、貴重な名品の数々を中国本土から台湾に輸送したのですね。
そういうわけで、現在でもここ故宮博物院で中国伝統の名品の数々が拝めるのです。
出迎えてくれる大型の鼎でした。
私も中国の古代文明に関心がありますので、こうした古代の青銅器類を見るのを楽しみにしています。
建物に入り、入口脇のロッカー室でロッカーが無料で利用できますので、荷物を預けて内部へ。
見学料金は250元(約1000円)であります。
さあ、中国4000年の至宝の数々、見て参りますよ~。
着いたのが遅かったので、あまりゆっくりはできませんがね。
故宮博物院では現在、フラッシュを焚かないこと、撮影機材を使用しないこと等を条件に、展示物の撮影が許されています。
そんなわけで私も気に入ったものを撮影してきました。
ちょっとだけ、この場でお見せしましょう。
写りは悪いですけれど、西周時代の、毛公鼎(Máo gōng dǐng)と呼ばれる青銅器です。
これが、今回の私のお目当ての品であります。
鼎(かなえ、Dǐng)はもともと肉類を煮込むための調理器具だったのですが、後に祭祀に使われるようになり、細やかな意匠を施されるようになったのですね。
素晴らしい形、存在感でした。
約2800年前に陜西省で製作されたと推定されています。
故宮博物院の三名宝のひとつなんですよ。
ちなみに他の二つの名宝は、中華料理の東坡肉によく似た形の肉形石(Ròu xíng shí)、白菜を模した翠玉白菜(Cuìyù báicài)の二品です。
肉形石は今年の10月末まで台湾南部の嘉義にある分館で展示しているとかで、不在でした。
翠玉白菜はありました。
つるつるの翡翠からつくった白菜の上に、イナゴとキリギリスが乗っています。
イナゴとキリギリスは子孫繁栄の象徴だとか。
清代の皇帝のお妃様、瑾妃が所持していたものと考えられている…のだそうです。
光沢が素晴らしいです。
長い歴史を重ねて育まれた、中国の伝統的な世界観の片鱗を感じました。
展示品を眺めながら早足で進み、気に入ったものを撮影する流れでした。
他の見学者の方たちの様子をそれとなく見ていましたが、彼らの話している言葉は中国語に韓国語、日本語、よくわからないけれど東南アジアっぽい言葉、とアジア各地から人が来ているようでした。
中国文化の誇る貴重な品々が気軽に見られるとあって、アジアの各国から人が集まるわけです。
また膨大な収蔵品があるので、展示されている品々も定期的に替えられるんだそうです。
何度来ても違うものが見られる、そういう良さもあるんですね。
リピーターの見学者も多いのかもしれません。
見学し終えて、外に出て参りました。
中国の宝が一通り拝める國立故宮博物院です。
中国文化に関心の強い人にとっては、一日を費やしてじっくり見学しても飽き足りないでしょう。
敷地内には広東料理の高級レストランと台南料理のレストランもありまして、予算に合わせて食事ができるみたいです。
広東料理のレストランでは予約しておけば肉形石そっくりの東坡肉がいただけるそうですぞ。
高級広東料理とは行きませんが、私もこれから台北の市街地に戻ってご飯を食べに行きたいと思います。
台湾らしいグルメが食べられると嬉しいですね。
価格:1,900円 |
台湾旅行一日目(1)。台湾到着。台北車站の名物を食べる
台湾に行ってみたいと思っていたんですね。
去年は香港に旅したのですが、その南国の気候と、中国大陸の文化と様々な国の多文化とが入り混じった雰囲気が気に入ったのです。
台湾もまた香港に共通する空気を持っているんじゃないかと期待したのですね。
そして何より、私は本場の台湾グルメが食べたくて仕方なかったのです。
数ヶ月前から航空券を予約して、待ちに待った6月の某日。
台湾に向かって出発しました。
お馴染み、関西新空港の第2ターミナルであります。
搭乗手続き、出国審査を終えて、飛行機に乗り込みます。
ピーチアビエーションの機体。
少し不安になるぐらい、小ぶりですね。
今回は台北の桃園国際空港から入国します。
台湾への着陸時は、軍事上の理由で上空からの風景、空港等の撮影が禁止されております。
ですので写真を撮れないまま、台湾に着陸しました。
飛行機が空港に近づくしばらく前から、台湾の田園風景が眼下に広がっていました。
ただ雨模様で、そこが不安ではあったのですね。
実は6月、日本と同じで台湾でも一番降雨量の多い季節なのです。
そこを理解しながら今回台湾旅行に踏み切ったわけではあるのですが…。
以降の滞在中、ずっと雨降りに悩まされ続けることになります。
ともあれ無事着陸、桃園国際空港へ。
立派な空港であります。
空港内に黑松(Hēi sōng)って飲料会社の自販機がありました。
この黑松沙士(Hēi sōng shā shì)が看板商品らしいです。
今は台湾上陸を果たせたことで興奮していて、飲み物を買う心の余裕もありません。
後々どこかで買っていただきましょう。
台湾出入国の際、未申告の10万元(元は台湾の通貨)以上の貨幣を所持していると、没収されてしまうらしいです。
皆様、台湾に出入国の際にはお気をつけて。
私はそんな大金を持つこともかないませんので、心配無用でしょう。
為替レートは、だいたい1元が日本円で4円になる計算です。
10万元だと40万円相当ですな。
私は空港内の両替所で所持金を適度に台湾元に替えて貰いました。
台湾旅行の際には、この悠遊卡(Yōu yóu kǎ)の利用が便利です。
香港のオクトパスカードと同じで、各種公共交通機関の運賃支払い、コンビニエンスストアでの支払いに使えるカードなんです。
カードを購入して、地下鉄構内の端末、またはコンビニのカウンターで申し出て金額をチャージすることが出来ますぞ。
台北市内からは離れたところにある桃園国際空港です。
長らく空港から台北市内へ直通の地下鉄が建設中だったのですが、最近ようやく開通したのですね。
さっそくこの地下鉄に乗って台北市内に向かいましょう。
MRT、またの名を捷運(Jié yùn)という地下鉄に乗って台北車站(Tái běi chē zhàn)に到着いたしました。
台北車站にはMRT以外にも、在来線にあたる台灣鐵道(Tái wān tiě dào)略して台鐵、新幹線にあたる高速鐵道(Gāo sù tiě dào)略して高鐵などの路線が乗り入れています。
地下鉄の乗り場から大きな駅ビル構内を迷いに迷って、大ホールへ。
台北車站の中心にある、地上六階分の吹き抜けなのですな。
広々として気持ちがいいです。
黒白二色の市松模様の床に、皆さん思い思いに座ってますね。
私も座りたいのですが、その前に。
私、前々からこの場所に来たら食べたいものがあったのですよ。
このホールの近くにある店舗で売っています。
これ、台鐵便當(Tái tiě biàn dang)です。
お弁当、駅弁なんですね。
何種類か売っていたのですが私が買ったのは60元(約240円)の排骨便當(Pái gǔ biàn dang)です。
一番安いやつですね。
しかし懐かしい味わいのパッケージで、いいですね。
開けてみましょう。
衣をつけて揚げた大きな骨付き豚肉、煮卵、そして湯葉を重ねて煮しめたものがご飯の上に乗せられています。
刻んだ青菜も入っています。
メインの豚肉も美味しいのですが、私はこの湯葉の煮しめが気に入りました。
食感が素晴らしいです。
煮卵の方は味薄めで、煮卵と言うより日本のおでんに入っている卵のような味付けでした。
湯葉も卵もおでんっぽい味付け。
全て美味しくいただきました。
台湾上陸後に初めて口にしたこの排骨便當、満足しました。
台湾グルメ、期待できそうです。
昼食を終えて、台北車站を外から眺めてみます。
大きな駅舎なので、全容を写すには距離を置かないといけません。
それにしても駅舎の外では雨が降り続いていて、これから台湾観光するには億劫な雰囲気。
持参した折り畳み傘を差しながら、思案にくれました。
台湾旅行一日目、まだ時間はあるので、どこか近郊に足を伸ばしたいと思うのです。
有名な故宮博物院が手頃なのですが、路線バスに乗っていかないといけません。
バス停を探して雨空の下を右往左往しました。
この歩道橋、台北滞在中に何度も行き来しました。
この上を通るといつも、小机を構えた占い師の男性と、横たわるホームレスの男性がいます。
台北車站の駅舎周辺にもホームレスらしき人たちが集まっていて、経済的に発展した台湾という国の一面を見る気がしました。
バス停がなかなか見つからず、さまよっています。
雰囲気よさそうな路地があっても、そちらに迷い込む心の余裕はありません。
歩いて喉が渇いたので、コンビニで買った黑松沙士を飲みましょう。
なんといいますか、薬の香りがするコーラのような、そういう飲み物です。
先日大阪のリトル沖縄で買ったルートビアを連想する味でした。
さっぱりした喉越しなので、台湾の高温多湿な気候にはちょうどいいのかもしれません。
さまよった末に故宮博物院方面のバス停を見つけました。
30分以上歩いて、すでに若干疲れ始めていますが、これから故宮博物院に向かいたいと思います。
バスに乗っている間に、雨が小降りになってくれればいいのですが。
台湾 アルミ 弁当箱 台湾製 ご飯、おかず二段型 台湾 アジアン雑貨 台湾旅行 おすすめ お土産 価格:2,890円 |
沖縄料理を食べに行く、大正区。大阪市の旅
沖縄料理が食べたくなったんですよね。
沖縄料理と言えば、大阪市大正区に「リトル沖縄」と言われる界隈がありましてね。
どうせならそこまで行ってみよう、と街歩き好きの私は思ったわけであります。
大正区のリトル沖縄。
実は私、以前にも行ったことがあるのです。
しかし今回はブログ記事にして、皆様にご紹介しようという腹積もりで行って参りました。
JR大正駅から降りて参りましたぞ。
この大正駅界隈には飲食店が多く、若い人の姿も多く見られる活気のある場所です。
ご飯を食べるにはいい土地柄ですな。
しかし今回の私の目的地、リトル沖縄はこの駅界隈からさらに南下した土地にあるのです。
最近は暖かくなってきて夏っぽい気候で、夏好きの私なんかは嬉しい限りであります。
太陽の下、元気に歩いて参りましょう。
「大正通」という目抜き通りを歩いて行きます。
「三軒家」交差点であります。
まだまだ歩きます。
高所恐怖症の気がある私は、こういう場所を通るとなんだか怖気が走るのです。
しかし高速道路と陸橋の位置関係に、魅力も感じるわけです。
我ながら変な性分であります。
南へ南へ。
いまだ沖縄らしさを感じさせる風景には出会えていません。
ちょっと見に行ってみましょうか。
落合上渡船場。
街路樹にヤシの木が生えている界隈に来ましたよ。
これは沖縄っぽい?
実際の沖縄の街にヤシの木が生えているのかどうか、私はよく知りませんが。
このヤシの木、ショッピングモールの敷地に沿って植えられているもののようで。
リトル沖縄とは特に関係ないんですね。
渡船場に近づいて参ります。
この先に、本当に渡船場があるのかどうか…。
ありました。
落合上渡船場です。
渡し船の乗り場なのですな。
大阪市が運営していて、渡し賃は無料です。
近くに木津川の水門も見えます。
あの水門、なんとなく、東京の勝鬨橋を連想しました。
木津川の向こうに、西成区側の渡し場が見えます。
渡って行きたいですな。
しかし私は今回大正区に沖縄料理を食べに来たので、西成区に渡ってしまっては駄目なのです。
まずは沖縄料理を食べよう、と渡し場から引き返しました。
渡船場と大正通の間に、緑豊かな千島公園があります。
あの公園の中を通り抜けて大正通に戻りましょう。
JR大正駅で降りてから渡船場に至るまで緑少ない街を来ましたが、千島公園には木々に満たされた空間が広がっていました。
千島公園の中に、標高33メートルの昭和山があります。
標高33メートルって山としては大したことのない高さに思えますが、この昭和山がある大正区が、埋め立て地ですからね。
高低差の少ない海抜すれすれの埋立地に突如盛り上がる、33メートルの山。
そう言うとその高さもわかりやすいのではないでしょうか。
大阪市西岸の港湾部にあって、東側の奈良県との県境の山々まで眺められる場所でした。
豊富な緑に癒されます。
昭和山では、自然の山にあるのと同じく多用な植生が保たれているのだそうです。
蘇鉄が生えていると、沖縄というか南国っぽさを感じることができますね。
千鳥公園を出て、大正通に復帰しました。
再び南下の途上です。
ここからさらに歩きます。
リトル沖縄のある「平尾」という土地に行きますよ。
バス停の「平尾」です。
JR大正駅からここまで結構距離があります。
長距離を歩くのが苦手な方は、駅前から路線バスを利用した方がいいかもしれません。
平尾のバス停の前に、沖縄っぽい風景がありました。
三階に剛柔流の空手道場を併設した沖縄居酒屋店と、そのお隣のカネシロ薬局さん。
カネシロさんって沖縄っぽい名前かな、と思います。
金城武って俳優さんもいましたよね。
主にこの平尾界隈が、「リトル沖縄」なんですな。
アーケード商店街、「サンクス平尾」の入口に来ました。
しかしここに入る前に…。
商店街入口のすぐ左手にある、マルトミ食堂さんです。
こちらでお昼をいただきましょう。
今回の旅の第一目的、沖縄料理です。
界隈には沖縄料理のお店もいろいろあるようですが、私が知っているのがこのお店ぐらいなのです。
以前にも一度、入ったことがありましてね。
私は人見知りの激しい方なので、気安いお店に気持ちが流れてしまいました。
マルトミ食堂さん、店内はのんびりとした空気が流れる場所で、一見さんも入りやすい雰囲気です。
なごみます。
お店の方に、注文をお願いしましょう。
まずは入店早々のオリオンビールと、豆腐チャンプル。
沖縄料理と言えばゴーヤチャンプルが著名ですが、私はゴーヤの苦さが苦手でして。
この豆腐チャンプルをいただくことにしました。
250円。
しっかりした味付けで、美味であります。
お野菜たっぷり。
味の染みた卵とお豆腐が、美味しいのです。
またオリオンビールが喉越し良く、盃が進みます。
天国!
そして来ました、注文していたソーキそば、800円。
豚肉の塊とスペアリブとがごろごろ入った、ごついものです。
日本のうどんに近い麺は、幅広でしっかり歯ごたえ。
昆布だしの染み込んだ豚肉も柔らかくしっかり味で、美味しかったです。
昆布、大根等の野菜類もたっぷり入っていて。
豊富なお肉と併せ、何だか食べると体が鍛えられそうな気がする一品でした。
美味しくいただきました。
オリオンビールでほろ酔い加減、なおかつソーキそばでお腹もいっぱいになり、マルトミ食堂を後にしました。
改めて、サンクス平尾。
しかし以前に来たときもそうだったのですが、中を通ると、いわゆるシャッター商店街に近い場所なのですね。
閉まっているお店が多いのです。
かろうじていくつかのお店が開いている程度。
そんな具合なので、「リトル沖縄」に多大な沖縄要素を期待して出向くと、肩透かしを喰らうかもしれません。
しかしその商店街の中ほどに、今でも一件、沖縄産食品を扱うお店が残っていましてね。
大きなサーターアンダギーがひとつ60円で売られていました。
甘い香りがして外側さくさく、内側ふわふわのサーターアンダギー。
ドーナツのような、美味しい沖縄のお菓子です。
おそらくはラードで揚げているからでしょうか、こってりとした脂っ気はありますが、優しい甘さと食感でした。
美味です。
これは一緒に買いました、ルートビア。
北米産の飲み物で、本土ではあまり流通していませんが、沖縄では買えるのですね。
端的に言うと、シップの香りがする炭酸飲料です。
飲めば怪我が治りそうな。
優しい味のサーターアンダギーとは一転して、人工的な味わい。
件の沖縄食品店には伝統的な食品と共に、ルートビアにスパムなど、アメリカ産の輸入食品が並んでおりまして。
沖縄の食文化の縮図を垣間見ることができるのでした。
サンクス平尾を通り抜けて、街の南側へ。
念願の沖縄料理をいただくことが出来たので、今度は渡し船に乗ってみようと思うのです。
こちらも渡し賃は無料です。
だいたい15分間隔で運行されています。
私も乗ってみました。
木津川で船上に揺られながら、香港で乗ったスターフェリーのことを思い出していました。
一瞬の船旅ですが、大阪市内でこうした体験ができるとは思いませんでした。
この渡し船、対岸を行き来する、地域の方々の足なのですね。
木津川を越えて対岸の西成区にやって参りましたが、工場街のようなところで、右も左もわかりません。
歩道を丸ごと使った花壇です。
こんなのは初めて見ました。
綺麗なものですな。
この工場街から東の「新なにわ筋」に向かう途中に、津守神社があります。
新なにわ筋に向かいながら。
お稲荷さん等、いくつかの神様を祀る津守神社です。
この津守という土地界隈は、江戸時代に新田として開発されたんですって。
海辺の土地でも、田んぼって出来たんですね。
現在は、住宅と工場、各種の商業施設が新なにわ筋沿いに並ぶ土地柄です。
津守からさらに東に歩いて、地下鉄四つ橋線の岸里駅近辺に来ました。
この辺りまで来ると都会の雰囲気です。
JR大正駅からずいぶん歩きましたが、楽しい大正区の旅でした。
価格:100円 |
『手間のかかる長旅(102) 路線バスの中で待つ』
停留所に来た目的の路線バスに、時子(ときこ)たちは乗り込んだ。
この駅前の停留所が始発で、如意輪寺方面に向かうのだ。
時子たち一行の他にもバスを待っている乗客は何人かあった。
中高年の女性ばかりだ。
スーパーの袋に榊、仏花などを入れて携えている人もいる。
土曜日の午前中である。
墓参りをする人たちなのだ。
実家を離れてこの街に住んでいる時子は、ここの人たちがどこにお墓を持っているのかなど、今まで考えたことがなかった。
おそらくは如意輪寺にも敷地内に墓地があって、女性たちは如意輪寺に向かうのだろう。
そう想像して、時子は町子(まちこ)たちとバスに乗り込んだ。
バス最後部のロングシートに、ヨンミ、美々子(みみこ)、東優児(ひがしゆうじ)、の三人が座った。
彼らの前方の通路を挟んだ両側の席に時子と町子、そして町子の前方にアリスが、それぞれ座った。
他の乗客たちも座席についた。
発車時間までしばらく間がある。
女性の運転手が運転席から立ち上がり、バスから出て行く。
彼女はバスターミナルを早足に歩いて、停留所から離れた喫煙所に向かった。
バスターミナルの中に路線バス会社の小さな事務所があって、その外に喫煙所が設けられているのだ。
すでにバス会社の他の運転手たちが何人か立って喫煙している。
そこに、女性運転手も加わった。
挨拶を交わして、談笑を始めているらしい。
時子と仲間たちは様子をバスの中から眺めている。
煙草を吸う同僚の傍に立って、女性運転手自身は煙草を吸っていない。
男性の同僚の話に相槌を打っている。
彼女の職場環境はどんな具合なのか。
勤務先が決まったばかりの時子は、そんなことを想像していた。
「ああ、もうじれったい、バス出さないで井戸端会議か」
時子の背後で、美々子が文句を言っていた。
彼女は同じ運転手を眺めながら、時子とは違うことを考えていたようだ。
「席外してる間にバス乗っ取りされたらどうするんだろ」
町子が美々子に調子を合わせるでもなく、何気なく言った。
「まちこおんに、きーおぷそよ」
町子に調子を合わせるように、ヨンミが言った。
「きーおぷそよ?」
町子は上体をひねってヨンミの顔を振り返った。
「ね」
ヨンミはうなずいた。
「きーおぷそよって何?」
眉をひそめて町子は尋ねる。
「キーが無いにゃ」
彼女も上体をひねって後方を向きながら、アリスが補足した。
「なんだ、キー無いのか」
と残念そうな声の美々子。
時子は、彼女の方を振り向いた。
「あのドライバーがあんまりもたもたするなら、私が代わりに運転してやろうと思ったのに」
時子に笑いかけながら、美々子は続けた。
時子は曖昧に笑い返しておいた。
冗談だろう。
でも時子は、バスを奪って運転する美々子の姿を見てみたい気がする。
軽口を叩く美々子の隣に収まって、東優児は窓の外を見ていた。
新品価格 |
天理教、彩華ラーメン、石上神宮。天理市の旅
しばらく前になるのですけれど、奈良県は天理市に旅してきました。
以前より行きたいと思っていたわけです。
奈良県内で、吉野と並んで私の旅先の候補地だったのですね。
江戸時代後期に勃興した新宗教のひとつ、天理教(てんりきょう)の本部があることで著名な天理市。
その宗教都市としての雰囲気を味わってみたかったのです。
そしてまた天理市は「天理ラーメン」と称されるご当地ラーメンの発祥地でもあるのですね。
当然私は、その天理ラーメンも視野に入れています。
大阪から近畿日本鉄道の各線を乗り継いで、近鉄天理線の終点が、天理駅です。
ただ代表的な天理ラーメンのお店である「彩華ラーメン」の本店が、天理駅から一つ手前の前栽(せんざい)駅の近くにあるのですね。
まず彩華ラーメンをお昼にいただくために、私も前栽駅で降りることにしました。
前栽駅で降りました。
降りてきて外に出たら、なんとも可愛らしい駅舎でした。
駅前はのどかな気配。
いつもの私の旅のごとく、出発が遅いので、もうお昼です。
お腹が空いています。
川沿いの道を南下していきますぞ。
国道25線に出くわしたら、今度はその道路沿いに大阪方面、西へ行きましょうぞ。
以前に旅したことのある大和郡山市へも、この道沿いに行けるようですな。
ただ11キロはちょっと歩く気がしません!
とうとう彩華ラーメンの看板を見つけました。
しかし「メン」の文字を前栽が隠してしまっている…。
前栽駅が最寄りだったのは、この前栽の繁茂現象を暗示していたのですね。
…などと馬鹿なことを考えながら、敷地内へ。
敷地内、駐車スペースはすでに車でいっぱいです。
やはり人気店なのですね。
もともと屋台のお店から始まった彩華ラーメン。
現在でも、この本店から離れた場所にあるスーパーの駐車場で、屋台形式の店舗が営業されています。
常設店舗としては、今私の目の前にあるこのお店が本店になるのですね。
ははあ。
昭和43年創業ですか。
昭和グルメって食欲をそそります。
店内で10分ほど待った後、カウンタ席に通されました。
私は「サイカラーメン小(一玉)」と「月見チャーシュー丼」を注文しましたよ。
サイカラーメン小は税込み699円、月見チャーシュー丼は税込み411円でした。
まず、月見チャーシュー丼。
柔らか甘口のチャーシュー、温泉玉子、ネギ、海苔がだしの染みたご飯に乗っています。
ボリュームのあるサイドメニューです。
そして一緒につけてくれた中華スープ。
これはラー油の風味が利いたちゃんと美味しい中華スープで、サイカラーメンのスープとは違う味でした。
そして、サイカラーメン。
白菜たっぷり、塩気の強い辛口スープです。
小って言ってますが、結構量がありました。
小でこれだったら、大はどんな量になるのか…。
大阪で食べたことのある同じ系統の「どうとんぼり神座」のラーメンと見た目は似ていますが、サイカラーメンの方がかなり味が強烈です。
塩気もきつい。
ただ同時に白菜、ニンニク、ニラ、唐辛子から成る野菜のだしが利いて、飲みやすく美味しいスープでもありました。
麺はこしの強い独特のもの。
天理ラーメンの源流の味を噛み締めるように、じっくりいただきました。
食事を済ませて、満足して出てきました。
お店の裏手にはのどかな風景がありました。
敷地を出る際に駐車スペースに停まっている車のナンバープレートをそれとなく見て行ったのですが、この奈良のラーメン店に日本各地の車が集まっていました。
こののどかな土地に、日本中から皆がラーメンを食べにやって来る。
なんだか面白いですね。
大阪からやって来た私は、この道を東に行きます。
しばらく歩いて、市街地に入ってきました。
天理市の市街地には、こうした独特の建物が密集しています。
詰所と言って、日本各地から天理教本部に来る信者の方たちが滞在する宿舎のようですね。
写真の建物に「伊那」という看板がついているのは、おそらく長野県の伊那市にある支部の方が滞在する詰所なのでしょうか?
道沿いにあったこの看板も、おそらく各詰所の所在を示したものでしょう。
どれも味わいのある名称ですね。
天理駅の界隈まで来ました。
近鉄とJRの線路が交わる、大きな駅です。
乗降客の行き来も激しいです。
駅前のスペースは開発、整備されて、古墳を模した遊技場にコンサート会場などもあって。
にぎやかでありました。
なんだか東京かどこかの、お洒落な都会の駅前みたいです。
目の前の天理本通商店街をずっと行けば、天理教本部にたどり着くとのことです。
「天理教」と白地で染め抜かれた黒い法被を着た老若男女が、大勢行き交っていました。
信者の方々なのですね。
休日にも信者の誇りを持って活動している…ということなのかもしれません。
天理教では、信者が休日に施設の修繕、掃除等の奉仕活動を行うということを聞いたことがあります。
ともあれ、活気のある商店街でした。
天理教関連の神具、書籍等を扱う商店も多いです。
本通商店街を抜けて、天理教本部へ。
神社の大鳥居を模したような形の門に「天理教教会本部」と表札があります。
奥の敷地内には規模の大きな、もっと率直に言うと巨大な本殿が見えます。
私がこれまでに参拝してきた神社、お寺の本殿、本堂と比べても桁違いの規模です。
私もこの本殿内に登って参拝いたしました。
立派な建物で、よくもこれだけのものを建てたな、と感心しました。
お参りを済ませて、本殿から出て参りました。
柔道など、各種体育会系の部活動で著名な私立大学です。
この大学キャンパスの中に「天理参考館」なる博物館があると聞いて、私も見学しようと思ったのですよ。
川の向こうにその天理参考館が見えますな。
古代中国の墳墓から発掘された副葬品を展示する企画展が開催されていました。
日本の古墳、外国の古代墳墓等に関心の強い私が来ています。
非常に好奇心をあおられます。
入っちゃいましょう。
内部の自販機で入館料400円払ってチケットを買い、見学できます。
常設展では世界各地の民族についての各種資料が展示されて、かなりの充実ぶりでした。
天理教は世界中で布教を行っているので、その関係もあって世界の民族について研究する必要があったようです。
大阪の「みんぱく」を思わせる豊富な所蔵資料。
戦前にハワイ、南北アメリカ等の外国に渡って布教した天理教宣教師の苦難を示す展示もありました。
各国の日系人社会に付随して、日本の信仰も世界に根を下ろしていたのですね。
外国に生きる日系人の信仰について疎い私がついぞ想像したことのない、そんな宣教史秘話が示されていました。
常設展も企画展も共に見所の多い展示で、すっかり外国の民族文化に魅了されて天理参考館から出て参りました。
天理の地にいながら、世界を巡ったような気持ちです。
これで天理教関連の諸々は大方見たことになるのですが、もう一箇所、近隣で行きたい場所がありました。
石上神宮です。
かつての官幣大社であります。
お参りお参り。
天理教が出現するよりも、もっと遥か昔からこの地に根ざしている、石上神宮。
もともと古代に物部氏が信仰していた神社で、祭神は「布都御魂(フツノミタマ)」という刀を司る神様です。
「七支刀」という、不思議な形の古代刀が伝わっていることで有名な神社でもあります。
境内では鶏が飼われていました。
鶏って縁起がいいんだそうです。
鎌倉時代につくられた楼門も立派です。
内部の拝殿と本殿は、意外にもこじんまりとした具合でした。
しかし国宝である七支刀のほかにも、数々の古代からの品々を伝える、由緒ある神社であります。
天理教関連施設に占められた天理市中心部ですが、かつてはもっと違った信仰に根ざす風景を見せていたのかもしれない…。
ふとそんな気にさせる、石上神宮のひっそりと慎ましい、たたずまいでした。
石上神宮の境内に、大和盆地の交通を支えた古道「山の辺の道」が今も通っています。
価格:218円 |