韓国旅行二日目(5)。扶蘇山城を散策。落花岩、메로나(メローナ)、白馬江の遊覧船

城門から入り、敷地内の遊歩道を歩いて登っていきます。

木陰は涼しくていいのですが、それでも歩いていると喉が渇きます。

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蛇口が並んでいるのですが、水気が皆無です。

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「음용 금지 수질검사중이므로 당분간 음용을 금지합니다.」

って書いてありますね。

「음용 금지」が「飲用禁止」なのは私にもわかります。

Google翻訳にかけると「飲用禁止 水質検査中のため、当分の間、飲用を禁止します。」という日本語訳が出てきました。

ちょうど水が飲みたい折だったのですが…。

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扶蘇山城に入ったばかりだというのに、もう手持ちの飲料は底をついてしまいました。

できるだけ直射日光を避けて歩きたいと思います。

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泗沘楼という建物がありました。

1919年に建てられたそうなので、新しいのですね。

ただこの付近には百済時代の建物の礎石が残っているそうで、もともと同じような櫓は立っていたのかもしれません。

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白馬江(ペンマガン、錦江)がかろうじて拝めます。

 

泗沘楼の辺りからさらに遊歩道を進むと、「百花亭」があります。

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百花亭は白馬江を臨む絶壁上の「落花岩」の上に建てられた東屋です。

かつて唐・新羅連合軍が百済を攻め滅ぼした際、追い詰められた百済王朝の女官たちがこの崖から眼下の白馬江に次々と身を投じました。

その様子がまるで花が舞い散るようだったので、崖は落花岩と名づけられたとか。

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崖際には落下防止の柵がめぐらせてあります。

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よく建てたな、と思うようなごつごつした巨石の上に建ててあります。

私も百花亭にあがってみます。

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周囲に木が生い茂っているので、開けた眺望とは言い難いですが。

眼下の白馬江。

百済の女官たち、ここから飛び降りたんですね…。

 

百花亭で手を合わせた後、坂を下って遊覧船乗り場に向かいます。

扶蘇山城からは遊覧船に乗って白馬江に出られるのです。

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遊覧船乗り場の前には、百済時代の創建と伝わる寺院、皇蘭寺(コランサ)があります。

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皇蘭寺の前に、古い船着場の名残りです。

公州の公山城でも城内と錦江が繋がる場所には寺院がありました。

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私も皇蘭寺にお参り。

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お参りの後は、いよいよ白馬江に船出しましょう。

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と思って片道チケット4000ウォン(約400円)を買ったのですが、船出までしばらくありそうだったので、待合室の売店で何か買うことにしました。 

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韓国アイス定番の「메로나(メローナ)」が売っていました。

1000ウォン(約100円)です。

もう喉が渇きまくっていますからね…。

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写真の焦点も合わないぐらい喉が渇いています。

緑色の船着場の上では、메로나の美味しそうな彩色もわかりにくい。

ともかくまあ美味しそうで、舐めると実際美味しいメロンシャーベットなのでした。

前日にモーテルでいただいたパチモノよりもより美味しく感じます。

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餌を撒く人がいるので、鯉?だかなんだか、得体の知れない魚が船着場すれすれまで集まってきます。

白馬江の生物環境を垣間見ました。

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遊覧船がやってきたようですね。

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乗り込みましょう。

他にも乗客が多くて、船内は混み混みになりました。

私は船尾の甲板に出ます。

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雰囲気を出そうと帆は張ってありますけれど、実際はエンジンが動力です。

立っていて結構な振動でした。

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遊覧船は船着場を離れます。

航行が始まると船内でトロット(韓国演歌)のBGMが大音量で流れ始め、するとその曲に合わせて船内の年輩の乗客たちがいっせいに歌い始めたのでした。

韓国では知名度のある曲なのか、何か昭和を思わせる懐かしい曲調でした。

どうも『白馬江』という歌謡曲のようです。

私の傍らには小さい女の子を連れた若いお母さんがいて、彼女は曲に合わせて踊るように女の子に促し、自ら時代がかった伝統舞踊の手本を見せています。

船内の皆が一体になって白馬江の遊覧を楽しんでいるのでした。

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あの崖が落花岩の箇所ですね。

あの上から、百済の女官たちは次々と身を投じたのですね。

百済は滅び、その翌年には百済の遺臣とその援軍に来た日本の軍勢が、同じくこの白馬江にて唐・新羅連合軍に大敗を喫しています。

ここは、数え切れない人の命を飲み込んだ流れです。

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落花岩の前を通り過ぎながら、古代の儚い情景を目の前に見ようとします。

現実には船内の勇ましい韓国語の歌声と若い母子の踊りが続いているのでした。

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現代韓国人にとって百済という国はどういう意味合いを持っているのだろうか、などと想像しました。

f:id:kompirakei:20180924001121j:plain歴史の舞台になったこの流れを目にする機会は今回限り、そう思いながら見ています。

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束の間の遊覧を楽しみ、扶蘇山城城外のクドレ船着場で下船しました。

下船の際、船内の『白馬江』のBGMが止まった後も年輩の乗客の人たちが歌い続けていたのが印象的でした。

ここから扶余の市街地にいったん歩いて戻ります。

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韓国旅行二日目(4)。扶余のキンパ天国でお昼。扶余は百済の故地

公州市と同じく忠清南道に属する、扶余群。

公州から市外バスで50分ばかりの道のりです。

居眠りをしている間に、着きました。

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余市外バスターミナルです。

扶余は市街地の近くに観光地がこじんまりとまとまっているそうなので、あまり歩かずに済むことを私は期待しています。

まあこう言いつつ、いつもなんだかんだで歩くことになるのはわかりきっているのですが。

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かつて百済の最後の都、「泗沘(サビ)」があった扶余の地です。

そんな土地に足を踏み出した感傷よりも、今は食欲の方が勝ります。

もう午後2時をまわっております。

商店街を歩きます。

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「김밥전국(キンパチョングッ、キンパ天国)」のお店がありますな。

キンパ天国は韓国中にお店のあるキンパ(韓国海苔巻き)のチェーン店です。

韓国に来たら、一度入ってみたかったのです。

入ってみましょう。

このお店も昨日入った名人マンドゥと同じく、メニューの書かれた用紙にチェックをつけて注文できました。

今回は私はチーズキンパとキムチマンドゥの欄にチェックを入れて、注文しました。

チーズキンパが3500ウォン(約350円)、キムチマンドゥも3500ウォン。

しめて7000ウォンです。

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キンパ到着!

キンパ天国では、注文が入ってから店員さんがキンパを食べやすいサイズに切って出してくれます。

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しかし断面を見てもチーズの入っている気配がしない…。

食べてみたらやはり、チーズは入っていませんでした。

キムチの味でした。

どうもチーズキンパではなくキムチキンパが来た模様。

私がチェックした欄がずれていたか、お店の人が勘違いしたか。

私は後者だと思うのですがねえ。

まあキムチキンパも悪くないお味でした。

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目にまぶしい色のタクアンが、黙っていても供されます。

ぱりぱり食感です。

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ネギ入りスープもついてきます。

ちょうどいい塩分。

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キムチマンドゥも来訪。

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食べるのがもったいないような、素晴らしい造形ですね。

もちもちの皮にキムチ入りの餡が入った、ほぼ日本の餃子のような味でした。

しかしキムチマンドゥとキムチキンパで同時に食べると同じような味なので、美味しいのですけれど、若干飽きがきます。

またどちらも量たっぷりで、少食ぎみの私は勢いで頑張って食べきりました。

私の初キンパ天国体験は、こんな感じでした。

 

会計を済ませて外に出た後、商店街の北にある扶蘇山城に向かいます。

公州の公山城と同じく、扶蘇山城も都を守った城なのですね。

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 「백재담은중앙시장(べクチェダムンチュンアンシジャン、百済ダムン中央市場)」が商店街の中ほどに現れました。

百済はいいとして「ダムン」ってなんなのか、今調べてもわかりませんでした。

とりあえず中央市場ってことでいいでしょう。

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大阪の黒門市場を思わせる雰囲気でした。

南北に通るアーケード商店街です。

 

黒門市場もとい百済ダムン中央市場を北に通り抜けて、扶蘇山城に向かいましょう。

中央市場のアーケード屋根から外に出ると、お昼をまわってもまだまだえらいキツイ日差しです。

朝からの公州散策ですでに消耗している私には、精神的に苦しいものがあります。

しかし弱音は吐きません。

日本からわざわざ百済の故地を見に来たのです。

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かつての都の名、泗沘を店名に冠した「사비북카페(サビブクカペ、泗沘ブックカフェ)」が道沿いにあります。

店内をのぞくと、お洒落な雰囲気でした。

韓国では各地に個人経営のお洒落な書店、ブックカフェ等が多くあって普及しているものの、読書人口の減少等諸々でどこも経営は苦しいそうです。

사비북카페にも地域の読書文化を支えて頑張って欲しいな、と思いながら店の前を通り過ぎました。

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扶蘇山城が見えてきました。

日差しが本当にキツイ。

韓国の夏は日本よりも涼しいのかと思ったら、この日差しのきつさのせいでむしろ日本よりも過酷な暑さであります。

うまれつき暑さに強い夏男の私でなければ、こんな日差しの下では5分と耐えていられなかったでしょう。

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扶蘇山城の周囲にも芝生を植えて整理した土地が広がってまして、ピクニックにもよさげです。

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「扶余東軒」と言って、朝鮮時代の役所の建物だそうです。

ここの役所の建物があるところを見ると、百済が滅んで1000年の後にも、山城跡は利用されていたのでしょうね。

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扶蘇山城の城門に着きました。

西暦660年に滅亡した百済の最後の都、泗沘を守った城。

さらにその翌年に勃発した「白村江の戦い」で百済倭国連合軍と唐・新羅連合軍とが戦った白村江(白馬江、錦江)も、この山城の北側に接して流れています。 

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『可もなく不可もなく』

気付くと、いつも同じ中華料理店に入っている。

「あどうも、まいどです」

既視感に襲われながら、僕は窓際のテーブル席に案内された。

前も「また同じ店に入ってしまった」と思いながら座り心地の悪い椅子に腰掛けたのだ。

座席の皮の部分がすっかりへこんでしまって、尻が硬い木の部分にあたる。

落ち着かない。

店内も薄暗い。

なんでこんな店に来てしまったのだろう。

テーブルの上のメニュー表を見ながら考えてしまい、何を食べるか考えがつかない。

店のガラス戸が開く音がする。

「あどうも、吉田さんいらっしゃい」

客の入店であった。

「あ、俺はまたこんなしょうもない店に来ちまった。なんでなんだろう」

「店に入るなりそんな言い草ないじゃないですか」

店主が泣き声をあげている。

今入ってきた吉田さんという客は、口さがない人物だ。

僕とまったく同じことを考えているのだろう。

吉田さんもお馴染みだものな、と僕は思う。

向こうはどうかしらないが、僕の方では彼のことを覚えている。

この店で、何度か見かけているからだ。

常連の吉田さんである。

その吉田さんはカウンタ席に座りながら、首をひねっている。

「おかしいな、俺は今日ばかりは中華料理食う気分じゃなかったし、たとえ食うにしてももっとマシな中華料理屋が界隈にいくらもあるんだけどな」

「そんなことを正直に言わなくてもいいじゃないですか、傷つきますよ」

店主が泣き声をあげている。

吉田さんは店主に取り合う様子もなく、メニュー表に視線を移す。

「いろいろ書いてあるけど、何を見ても食いたいと思わないんだ」

「そんなことないでしょ、青椒肉絲定食どうですか、旨いですよ」

「そう言われて前も注文したけど食ってもピンとこなかったんだよなあ」

「酷いな、じゃあ無難に唐揚げ定食でも」

「それは先々週にもその前の週にも食ったよ、本当に無難な可もなく不可もなくの唐揚げ」

「そんな言い方ないでしょう、褒めてくださいよ」

「本当にもう何食おうかなあ」

店主をいじめて遊んでいるのではないのだ、吉田さんは。

この店で何を食べても可もなく不可もなくで、自然とこうなってしまうのだ。

そう僕も思いながら、メニュー表を見ている。

中華料理として思いつくような料理はひととおり何でもあるのだが、どの料理名を見ても不思議と心が躍らない。

僕は中華料理が好きなのに。

おそらく何十回とこの店で食事をしていて、もうどの料理を見ても思い出せてしまうのだ。

可もなく不可もなくの味を。

店のガラス戸が開く音。

「いらっしゃいませ」

店主の声にわずかに緊張の気配がある。

僕は入ってきた客を見た。

見かけない顔だ。

スーツケースを店内に転がしてくる。

Tシャツに短パン姿の背の高い男性。

金髪に染めた髪に、大きなサングラス。

あ、外国人の観光客だ、と僕は直感的に思った。

彼は店内を見回して、少し戸惑った様子で店主の方に顔を向けている。

「お好きな席にどうぞ」

店主は曖昧に店内を示しながら浮ついた声で言った。

外国人客はうなずいて、そのまま僕の近くのテーブル席へ。

スーツケースを通路側に置いて、自分は壁際の椅子に腰を下ろした。

サングラスを外してテーブルに置いた。

丸い大きな目をしている。

日本語、通じるのだろうか。

彼はメニュー表を見て、首をひねった。

料理名は漢字なので、おそらく彼にもわかるだろう。

なぜと言って、漢字文化圏国出身者の雰囲気があるからだ。

「あのー」

それとなく様子をうかがっている僕と吉田さんとを差し置いて、外国人客は店主の方に視線を向けた。

「はい、どうぞ」

受ける店主。

「おすすめ、何ですか」

独特のイントネーションで、男性は尋ねた。

「えっ」

店主は声を詰まらせた。

見るからに狼狽している。

なるほど、と僕は思った。

中華料理の味には厳しそうな、目の肥えた外国人客なのだ。

そんな人物におすすめ料理を勧めるなどすれば、自分の首を絞めることになりかねない。

この店主に料理人としての矜持を認めていない僕は、そのように店主の心理を慮った。

「おすすめですか、弱ったな」

店主は心の隙を曝け出している。

外国人客は店主に視線を据えている。

「自慢の青椒肉絲を勧めたら」

吉田さんが声をひそめて、店主に助け舟を出した。

「えっ駄目ですよ青椒肉絲なんか、太刀打ちできませんよ」

「何だったら太刀打ちできるって言うんだよ、本当に」

吉田さんは笑い声をあげている。

しかし外国人客はやりとりが理解できないのか、身じろぎもしない。

店主のおすすめを待っているのだ。

店主の表情に焦りが見える。

「じゃあ、麻婆豆腐定食はどうでしょう」

絞り出すようにして料理名を口にした。

声をかけられた方は、少し首をかしげている。

それからようやく、小さくうなずいた。

店主はほっとしたようだ。

料理を出す前に気を抜いてしまってどうする、などと僕は余計な心配をする。

僕と吉田さんも、銘々自分の料理を注文した。

どれを食べても娯楽要素の薄い料理ばかりなので、何を注文したか特筆する気もない。

外国人観光客は、出された麻婆豆腐定食を、粛々と食べた。

店主も僕も吉田さんも、それとなく彼の食事の様子をうかがっていた。

異国情緒のある所作ながら、格調高い食事ぶりである。

しかし食べながら、彼がときどき首をかしげているのを、カウンタ内の店主はしきりに気にしていた。

食事を済ませて、外国人客は勘定を払って店を後にした。

彼が出て行った後は目に見えるほどに店内の空気も緩んだのだ。

ただ、何かそのことを口に出すのがはばかられた。

店主も吉田さんも、もちろん僕も、件の外国人客のことにはいっさい触れなかった。

 

こんな座り心地の悪い椅子は、いい加減買い換えてもいいのではないか。

そう思いながら、僕はメニュー表を見ている。

何を食べたらいいのだろう。

店のガラス戸が開く音。

「あどうも劉さん、いらっしゃい」

店主が迎えている。

僕はそれとなく入ってきた客を見た。

背広姿の背の高い男性である。

短い黒髪で、大きな丸い目をしている。

「こんにちは、なぜかまた来てしまった」

男性は応じている。

「なぜかってことはないでしょう、うちの料理が美味しいから来たんでしょう」

慌てて答える店主の声。

「でも美味しいのですかねえ…」

独特なイントネーションで言いながら首をかしげ、その外国人男性は僕の近くのテーブル席に着いた。

既視感があるな、と僕は思った。

あの常連客は時々この店にやってくる。

そして彼が初めて入店したその現場に、僕は居合わせた気がする。

だが思い出せない。

カウンタ席に座っている吉田さんも、腑に落ちない顔をして男性客の方をこまめにうかがっている。

彼も僕と同じことを考えているに違いない。

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韓国旅行二日目(3)。公山城から公州総合バスターミナルまで歩く。公州は熊の街

宋山里古墳群と武寧王陵、そして公山城の見学を終えて、私に与えられたこの公州での役目は終わったものと思いました。

公州から今度はさらに南にある扶余(プヨ)という街に移動します。

この扶余も公州と同じくかつての百済の故地、それも百済が滅亡を迎えた最後の都のあった土地なのですね。

いったん公州総合バスターミナルに向かいます。

公山城前のロータリーにあるバス停で、総合バスターミナル方面に行くバスを待っていたのです。

が、ようやく来たバスの運転手さんに聞いたところ「そこには行かない」とのことで、困惑してしまいました。

バスの進行方向は合っているはずなのですが…。

バス停には各方面に向かうバスの時刻表と路線図とが貼ってあるのですが、韓国語がよくわからない身には理解しづらいのです。

このままバス停で待っていても、総合バスターミナルに向かうバスが来るのかどうか、保証はありません。

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もう歩いていってしまおう、と歩き始めました。

考えることを放棄しました。

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モーテル街の前を通り過ぎ、山城洞市場の前も通り過ぎ。

途中、通り過ぎるバス停の時刻表を覗いてはいるものの、次に来るバスと時間が合いません。

歩いて歩いて繁華街の外れです。

錦江にかかる公州大橋まで来ました。

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かつて熊津と言われただけあり、公州には熊のモチーフがついてまわります。

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公山城の上から眺めた風景を別の角度から見ています。

まさか公州大橋を歩いて渡ることになるとは思いませんでした。

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公州大橋を渡り終えて、公山城側を見返します。

こちら側の川べりは公園として整備されています。

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橋のたもとの近くに、大きなマスコットキャラクターたちが私を待ち構えていました。

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熊の王様「고마곰(ゴマゴム)」とお姫様の「공주(ゴンジュ)」です。

公州市の公式マスコットキャラクターですね。

ゴムというのが韓国語で熊を指すので、ゴマゴムは響きとしては高麗熊、というところでしょうか。

武寧王を意識して王様のデザインだそうです。

一方のゴンジュは地名の「공주(公州)」の発音と、お姫様を表わす韓国語「공주(公主)」とが同音異義語であることからの洒落なんですね。

二人の姿は、武寧王とその王妃のカップルを連想させるところがあります。

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公州の名産品、栗の形をした照明が二人の周囲を取り巻いております。

夜間にはゴマゴムとゴンジュの姿がライトアップされるのでしょう。

 

川沿いにしばらく歩きました。

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川沿いに建つ公州市外バスターミナルの建物です。

この建物の近くに公州総合バスターミナルもあります。

歩きに歩いて、ようやく着きました。

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すでにお昼をまわっています。

昼食をとりたいのですが、路線バスの本数が限られていますので、まずは扶余行きのチケットを購入しましょう。

公州発扶余行きのチケットが4300ウォン(約430円)でした。

まもなくバスが出るということでしたので、お昼は扶余に着いてからということにします。

公州総合バスターミナル内にも飲食店がいくつか入っていたので、迷ったのですが。

コンビニで飲み物だけ買って、バスに乗り込みました。

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「초가을 우엉차(チョガウルウオンチャ、初秋ゴボウ茶)」だそうです。

韓国ロッテの製品ですね。

ゴボウまでお茶にするんですね、韓国では。

朝鮮王朝時代に仏教が弾圧された関係で、仏教寺院に付き物の緑茶が韓国の食卓には根付きませんでした。

代わりに野菜、果物からつくる様々なお茶が普及しています。

韓国のトウモロコシのお茶なんて私は結構好きなんですが、ゴボウ茶は知りませんでした。

キャップを取ると、ゴボウの特徴的な香りが鼻につきます。

飲んでみたところ、ゴボウの風味以外は特に癖もない、飲みやすいお茶でした。

 

私が車内でゴボウ茶を飲んでいる間に、バスは公州の街を走っていきます。

私が歩いてきた公州大橋を渡り、山城市場前を通りモーテル街前を通り、公山城前のロータリーのバス停を通り過ぎたときにはもう、座席でひっくり返りそうになりました。

公州総合バスターミナルから扶余行き市外バスに乗るために、公山城前から私が苦労して歩いてきた道のりを、扶余に向かうバスはあっさりと逆流したのでした。

公山城前のバス停で扶余行き市外バスに乗るのは無理だったので仕方ないのですが、どうにもわりきれない思いです。

徒歩を強行して費やした一時間ばかり。

とても惜しいです。

もう心身共に疲れてぐったりしてしまい、扶余に着いてから食べる予定の昼食ばかりが楽しみでした。

さようなら公州。

またいつか来るかも。

ゴボウ茶を飲み飲み、短い居眠りしました。

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韓国旅行二日目(2)。ユネスコ世界遺産、公山城。外壁上を一周

公山城に向かいます。

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宋山里古墳群方面から来ると、煉瓦造りの門を通ることになります。

その向こうにロータリーがあって、公山城の入口ですね。

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この煉瓦の門、武寧王陵の玄室の煉瓦の文様を模してありますね。

側面には出土品の鏡の巨大なレプリカまで掲げられています。

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日差しがきつい中、とうとう公山城に来ました。

ユネスコ世界遺産、公山城です。

公州が熊津と呼ばれていた百済の都だった頃、都を守る城でありました。

錦江を望む高台の上の山城です。

入場料1200ウォン(約120円)を支払い、入場します。

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山城の周囲を、石垣の城壁で囲んであるのですね。

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城門の上には東屋があって人が待機できるようになっており、櫓のような場所なのですね。

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公山城前のロータリー沿いにいい感じのカフェ、飲食店が集まっています。

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城壁の上は歩道として整備されているのはいいのですけれど、コンクリートで固められてしまい、情緒はありません。

ユネスコ世界遺産なのに…。

まあそれはそれとして、今回の公山城探索、この城壁の上を歩いて一周してこようと思っています。

公山城の警備にあたった警備兵たちの気持ちを追体験してみようかな、という目論みです。

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わりとぐねります。

城壁が。

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視界が開けたときには、すかさず景色を撮っていきます。

山並が街に近くて綺麗です。

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向こうから来る人とは体を傾けてぎりぎりすれ違える程度の幅で、転落防止の柵もなし。

足を滑らせたら、崖下に滑り落ちてしまうような状況でした。

私は重い荷物を背負いながら歩いているので、時々足元がふらついて肝が冷えます。

百済時代の警備兵たちはバランス感覚に優れていたと見えます。

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途中、城壁の近くに平地がありました。

日本の城でいうところの二の丸とか本丸の雰囲気。

この平地に、食料庫など建物がいくつかあったようです。

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建物の柱の跡が発掘されていますが、現在は芝生で覆われてよくわかりません。

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城壁散策に戻ります。

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鎮南楼という門を兼ねた東屋で、南側の防備にあたる櫓門のような施設だったようです。

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ここからさらに上り勾配。

つらいです。

四聖獣の朱雀の絵柄の旗がはためいていますが、ここが公山城の南に面しているからですね。

朱雀は南を守ります。

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まだ坂道が続きます。

坂の途中で旗の絵柄が青龍に変わっていました。

東の方角を守る青龍、ということは東側に来ているのですね。

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うっそうとした場所に、東門です。

ひと気が無いかと思ったら、観光客の人が東屋の中でベンチに座って休んでいました。

城壁の上を歩いている人は私以外にはあまり見かけませんけれど、公山城内には散策路がありますので、皆さんそこを通ってくるのですね。

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この斜面を駆け登っての城攻めは、無理ではないでしょうけれど苦しそうです。

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公山城の北側は、錦江に面しています。

あの向こう側は、昨日私がソウルからの高速バスで着いた公州総合バスターミナルのある町です。

遠くには高層集合住宅のビルが林立していて、結構な眺めでした。

地方の小都市でも、あれだけ集合住宅があれば人口は結構な数になるのでしょう。

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樹木の合間にまた平地があって、大きな建物が見えます。

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臨流閣と言って、錦江を臨む場所に建てられた宮殿のようでした。

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天井の意匠が美しい。

いつの時代に建てられたのかわかりませんが、凝っています。

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樹木のおかげで、臨流閣の上から錦江を臨むのは残念ながら無理です。

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臨流閣の傍らに、石碑が三本立っています。

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「明国三将碑」とありますね…。

詳細はわかりませんが、日本の安土桃山時代豊臣秀吉率いる日本軍が朝鮮に攻め込んだ折、明国から防備に派遣された三人の将軍を顕彰する目的のようでした。

もともとこの地の百済は古代日本と親密だったわけですが、古い時代の日本との結びつきよりも日本から受けた被害の方が新しいだけに、土地ではこういう史跡の存在感が強いのかな…と。

百済史跡が目当てで来ていますので、微妙な気持ちになります。

土地の記憶は重層的なのですね。

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いよいよ錦江が目前に拝める場所に来たようです。

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深呼吸しました。

川向こうには公州総合バスターミナルのある界隈です。

錦江のこちら側と向こう側とでそれぞれ街が別個に発展しているような感じですね。

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街の北側には高層集合住宅は立っていません。

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街の南側はもう建物が本当に少ないですね。

街の南限なのですね。

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ここから今度は下り勾配に入りました。

つんのめって坂を転げ落ちそうな感覚を覚えます。

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低くなって錦江と面した場所に、不思議な施設がありました。

これから降りていきます。

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件の施設の奥にはなぜかお寺があって、お坊さんが木魚を鳴らして勤行の最中でした。

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お寺の前には水が湧いています。

本当に日差しがきつい日で、手持ちの飲み物も飲み干してしまい、喉が渇いていました。

本当に喉から手が出るほど目の前の冷たそうな水を飲みたい気持ちです。

ただ韓国では基本的に水道水は飲用に適しておらず、飲めません。

目の前の水が飲めるものなのかどうか、確証も無く。

水分に餓えながら、我慢して手先を洗うだけに留めました。

未練がましく、顔も洗わせてもらいました。

冷たくて気持ちのいい水でした。

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お寺から件の施設まで、トンネル通路が通っています。

しかしお寺のお坊さんもここを通ることはないのか、中には蜘蛛の巣が張っていました。

蜘蛛の巣に引っかかるのは嫌なので、遠回りしていきます。

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「蓮池」という場所だそうです。

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錦江と繋がった、公山城の取水施設なんですね。

内部に隠し門もあって、城壁の外からこの蓮池まで秘密の通り道も繋がっているんだそうです。

見たところはどこに秘密の通り道があるのかわかりませんでした。

池の底なのでしょうか…。

 

蓮池からさらに城壁の上を進みます。

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こんな城内に横穴式古墳が…と思ったら、1915年につくられたコンクリート製の貯蔵庫で、お蚕さんを貯蔵する用途のものだということでした。

絹をつくる虫の、蚕です。

蚕は冬から4月頃まで冬眠するのですが、彼らの食料になる桑の葉は5月にならないと取れません。

それでこの貯蔵庫内を氷で冷やすことで蚕により長く冬眠させて、人為的に目覚める時期を遅らせるのだそうです。

お蚕さんを育てるには手間がかかるのですね。

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四聖獣の玄武が守る北の方角まで来ました。

ようやくです。

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通り道にもなっている拱北楼です。

左の方で昼寝中のおじさんがいたので、物音をたてないようにしました。

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この拱北楼の裏手に野原が広がっています。

いつの時代のことかわかりませんが、現地の案内図によると昔はここに市場があって行き来する人で賑わっていたそうです。

山城の城内に市場がある、というのは面白いですね。

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拱北楼まで来れば最初に入ってきた城門が近いはずなのですが、その前にまた登り道。

もう喉は乾燥しきっているし歩き疲れて、心はすでに折れています。

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展望台なのでした。

奇岩も目を引きます。

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せっかくなので展望台にまで上がって、この眺め。

悪くないです。

ここまで来ると心地いい風が吹いていて、私の横にいた観光客の女性がしきりに「シウォナダ」と言っていました。

シウォナダってちょうど最近覚えた韓国語で、心地いいとか気分がいいとか、そういう意味の言葉だそうです。

今回の旅の最中、展望台など風が吹いている場所に来る度に他の観光客が「シウォナダ」と口にするのを聞きました。

何か言葉の実感がわかってくるような気がしました。

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展望台から入口の城門まで、至近距離です。

自然、駆け足気味になりました。

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最後の四聖獣は、白虎でした。

西を守っています。

公山城の城壁上をようやく一周。

時間にして、おおよそ一時間強かかったと思います。

疲れた以上に、喉が渇きました。

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いてもたってもいられず、ロータリー前のコンビニで、ペプシコーラを買い求めました。

いっき飲みしてしまいました。

…いまいち冷えてなかったですね。

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韓国旅行二日目(1)。公州の王陵の谷。宋山里古墳群と武寧王陵

よく眠り、翌朝7時頃に目覚めました。

8時にはもうモーテルをチェックアウトします。

いいお宿でした。

 

山城洞のモーテル街は公山城の目の前なのですが、公山城の開園時間は午前9時からです。

まだ時間の猶予がありますので、少し離れたところにある観光地から先に見ておこうと思いました。 

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モーテル街の傍らに掛かる王陵橋を渡って、王陵へ。

ここから数百メートル進んだ先に、「宋山里古墳群」という古代の古墳があるのです。

もともと公州は「熊津(ウンジン)」といい、西暦475年から538年まで、三国時代百済の都でした。

もともと百済国の都は現在のソウル特別市内の場所にあった「漢城」だったのですが、475年に北の高句麗に攻め込まれ陥落、捕らえられた蓋鹵王(がいろおう)は処刑されます。

ここに百済は一度、滅亡しました。

しかし国外にいて難を逃れた王子の文周王が蓋鹵王の後を継ぎ百済を再興、漢城から南の熊津に都を移したのでした。

これから行く宋山里古墳群には、この熊津が百済の都だった頃につくられた古墳が集まっているわけです。

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念のため王陵橋の反対側にも来てみました。

欄干に花壇が設けられていて華やか、気分がなごみます。

土地の方々がお花の世話をされているのでしょうね。

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橋の下は済民川。

川べりが公園として整備されております。

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上り勾配が先に長々とあって。

朝から日差しがきつくて、少し歩いただけなのにもう心が折れかけているのでした。

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通路の上から目線で他人様のお宅を拝見。

韓国の民家って日本の民家に似ているような似ていないようなですね。

日本の住宅を、若干お寺に近づけたような外観ですな。

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宋山里古墳群に隣接して、市民運動場、市立図書館、公州国立博物館などの公共施設が集まる界隈です。

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ユネスコ世界遺産都市公州」とあります。

宋山里古墳群のある敷地内にここから行けます。

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察するに「매표소(メピョソ)」というのはチケット売り場のことみたいです。

おそらく漢字で書くと「売票所」となるのでしょう。

매표소に向かいます。

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この先の古墳群入口脇に매표소があり、1500ウォン(約150円)で入場券を買って敷地内に入りました。

宋山里古墳群の中には百済の第25代王、武寧王の陵墓があることで有名です。

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古墳群が連なって丘陵を形成しているのですが、その丘陵の一番裾野にあたる部分に古墳を模した形の「模型館」という施設があります。

この中で、宋山里古墳群と武寧王陵にまつわる各種の展示物が見られるのですね。

入ってみましょう。

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館内では、各古墳の玄室内部を再現した模造古墳が設けてあって、実際に中に入ることができます。

宋山里5号墳。

腰を落として身を屈め、狭い入口から玄室内部へ入ります。

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心なしか息苦しいような…。

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玄室内部に絵が描かれた、装飾古墳なのですね。

日本でも九州では装飾古墳が多く発見されています。

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館内には古墳作りの過程を再現したジオラマもあります。

上のものは、窯で煉瓦を焼いているところです。

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熊津では日本の古墳のように大きな花崗岩を積むのではなく、煉瓦を敷き詰めて玄室をつくるのが主流だったようです。

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今度は6号墳にも入ってみましょう。

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雰囲気ありますね…。

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年を経た玄室内部の造形がよく再現されています。

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煉瓦の装飾も、呪術的というのでしょうか、見ていて引き込まれる磁力を感じます。

玄室内部ではわかりにくかったのですが、この6号墳内部は玄室壁面に四聖獣の描画が成されていることも特徴のひとつです。

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玄室内部とは別に、四聖獣図を再現した展示もあります。

古墳の玄室内部に四聖獣図を描くのは、高句麗の古墳の特色だそうです。

日本の奈良県飛鳥村にある高松塚古墳の内部にも四聖獣図が描かれていますね。

百済の古墳、日本の古墳にそれぞれ高句麗の技術が伝来していたのかも…と想像できます。

 

模型館の奥には武寧王陵の玄室も再現されております。

百済が隣接する高句麗新羅と敵対していた関係上、武寧王は日本との関係を重視していたらしく、日本書紀にもその名前が出てきます。

日本では武寧王継体天皇に贈ったものとみられる「人物画像鏡」を和歌山県橋本市の隅田八幡神社が所蔵しており、これは国宝に指定されています。

現在は東京国立博物館で管理されています。

日本と縁が深かった王なのですね。

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広い玄室の床には、数々の副葬品が安置されています。

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レプリカですが、副葬品の展示も。

各種の鏡ですね。

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金冠、耳飾なども。

武寧王陵には武寧王と合わせて王妃も埋葬されていたので、副葬品も武寧王と王妃のものとがそれぞれありました。

また武寧王と王妃の遺体を収めた木棺のレプリカも展示されていました。

この木棺は高野槙を材料に製作されたものだそうです。

高野槙は日本の高野山に特に多く、武寧王陵の木棺の素材も日本から運ばれた可能性があるとか…。

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これは墓誌石です。

そもそも武寧王陵が武寧王と王妃の王陵だと判明したのは、この墓誌石によるところが大きいのです。

墓誌石には、埋葬されている人の名前とその事跡などが事細かに記されています。

日本も韓国も、大きな古墳であっても中に眠る被葬者が不明で特定も難しい場合が多いのですが…。

たまたまこ墓誌石が古墳から見つかったことで、武寧王という歴史に名を残す人物の陵墓が判明したわけなのですね。

墓誌石、万歳。

また武寧王陵は盗掘も免れており、数多い副葬品が無事でした。

時代は1971年、僥倖のような武寧王陵の発見。

韓国考古学史上の大事件だったわけです。

 

模型館を出て、これから実際に古墳群を見て参ります。

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模型館の出口の目の前に古墳の山が控えています。

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別の一角には発掘中の現場がフェンスで仕切られています。

「観覧口」を設けて現場を覗けるようにしてくれてあるものの、「写真撮影禁止」ということでした。

サービスがいいような、悪いようなわからん対応です。

遠くから撮りました。

目視した発掘中の現場は無人で、素人の私には見ても状況がよくわかりませんでした。

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5号墳ですね。

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玄室の環境保存のために入口は封印されています。

先ほどレプリカの玄室に入ってきたので、中がどうなっているのか私にはよくわかっています。

内部を想像しました。

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同じく武寧王陵にも封印が施されています。

この中にあの模型館で見たのと同じ広大な玄室が広がっているかと思うと…。

興奮してきます。

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武寧王陵よりも高い位置に、1号墳から4号墳までが並んでいます。

どなたの墓所か、特定されていないだけで…。

あれらの古墳群に眠っていたのは、百済の歴代王である可能性もあるわけです。

5号墳、6号墳もそうなのです。

武寧王陵に先駆けて、1927年に発見されている1号墳から4号墳。

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埋葬されていた人たちの遺体は、おそらくは博物館等の研究施設で保存されているものと思います。

墓誌も無く、副葬品も盗掘され、誰なのかこれからも不明なまま眠る、偉大な人々…。

想像すると、途方もない行き場の無い気持ちに襲われます。

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緑豊かな王陵の谷のさなかにも、開発の波。

高層住宅が立ち並びます。

古墳の多い丘陵地帯が宅地造成されて住宅地になっていくのは、日本と事情が似ていますね。

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古墳群の裏手に小道があって、ここを進むと国立公州博物館に行けます。

国立公州博物館は、武寧王陵の副葬品の現物を主に展示しているのです。

気にはなるのですが、本日の観光の予定も押していますので、スルーしてしまいます。

レプリカを見て満足してしまう、薄情な私です。

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これから公山城を見学するので。

元来た道を、再び歩いて戻ります。

やっぱり暑いです。

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韓国旅行一日目(5)。公州の夜、書店でのひと幕。そしてお酒

Mom's Touchでの食事の後、モーテルに帰るついでに買い物もしていきます。

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左は東南の大田、もしくは東北の天安に繋がる道です。

真っ直ぐ行けば南西の扶余へ着きます。

後日、私はこの扶余にも行く予定なのです。

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大通り沿いに「e-문고(e-文庫)」なる書店がありますね。

いい書店なのでしょう。

この時間に空いてるのは有り難い、と思い入ってみることにします。

実は日本で、ネットで調べた欲しい韓国語書籍のリストをメモしていて、持って来ているのです。

そのメモを見ながら店内の書棚を見ていると、外から入ってきた店の人らしい中年の女性に声をかけられました。

怪訝そうな顔をしているので、「もう閉店だから出ろ」と言われたのかな?と思ったのですが、彼女は私の手のメモを見ている様子。

「何か本を探しているのか?」と尋ねていたのですね。

手招きされて一緒にカウンタの方に向かうと、女性は中の端末で在庫検索を始めました。

「欲しい本を探してあげるから買いなさい」という商売っ気の強い感じ。

書店の人がこんなに営業意欲を露わにするとは…と一種の感銘を受けました。

先にカウンタ内にいた女性のご主人らしい男性は、半ば苦笑の顔を私に向けています。

この旦那さんはおっとりした雰囲気です。

女性と一緒に帰ってきていた息子さんらしい若い男性が英語を話せたので、間に入ってもらいました。

女性は息子さんに指示して、在庫のあった書籍を取りに行かせています。

こうなると私は成り行きを見守るばかりです。

欲しかった本のうち、二冊だけ在庫があって、カウンタに運ばれてきたのですね。

両方とも買わないといけないような雰囲気だったのですが、現物を見るとどちらもそれなりに厚みのある本です。

私はまだ旅の途中で、できれば重い荷物を増やしたくありません。

やむなく一冊だけ買う旨を息子さんに伝えました。

息子さんもお母さんも異議を唱えることもなく、支払いに進みます。

ほっとしました。

続けて、領収証が欲しかったので"Can I get a receipt?"と息子さんに頼むのですが、私のreceiptの発音が悪いのか通じません。

もどかしくなって、春の上海旅行の際に覚えた中国語の「票(ピャオ)」という単語が口をついて出ました。

韓国語でも似た発音の「票(ピョ)」で、中国語のそれと同じで領収書ではなく各種のチケットのことを指すのですが、私はやぶれかぶれだったのでした。

しかしこの「票」から、息子さんは私の言いたいことを察してくれた様子。

お母さんに伝わって、レシートというか本格的な領収証を書いてくれたのでした。

韓国でレシート、領収証は「영수증(ヨンスジュン)」と言うらしいです。

今回の韓国旅行ではコンビニ、飲食店でもレシートをもらえることが少なかったので、韓国ではレシートを採用している種類の店と採用していない種類の店があるようです。

ヨンスジュン、覚えておきましょう。

 

欲しかった本のうち一冊だけを選び、残り一冊は今回は見送りました。

また後日ソウルの大書店で買い物する予定なので、そのときに買えばいいか、ぐらいの気持ちです。

店の人たちにお礼を言って出てきました。

後はコンビニで買い物でもして、モーテルの部屋に戻ります。

旅先の夜には、土地のお酒をいただくのが定番なのです。

いろいろ買いました。

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これは買ったのではなく、ただでもらったものです。

モーテルのフロントの前に業務用のアイスクリーム冷蔵庫があって、アイスクリームを取り放題だと言われたのでひとつもらってきました。

韓国には「메로나(メローナ)」という定番のメロン味アイスがあるのですが、そのメローナはなくって、どうもそのパチモンらしい一品です。

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メロン味のシャーベットを固めたものですね。

日本以上に過酷な韓国の夏の暑さに、じわじわと痛めつけられていた折。

パチモンかもしれませんが、とても美味しくいただきました。

アイスの前菜の後、そのまま晩酌に入ります。

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土地のお酒と言いますか、韓国ビールのHiteの、Extra Coldですな。

部屋のクーラーが効いてくるのを待つ間に、もう飲んでしまいます。

よく冷えてて美味。

苦味はそこそこで、飲みやすいと思います。

ちなみに韓国ではビールのことを「맥주(メクチュ)」と言います。

生ビールだと「생맥주(センメクチュ)」ですね。

飲食店で頼むときも「ビール」では通じないらしいです。

韓国にいらっしゃるお酒好きの方は、覚えておられると便利かと思います。

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肴にはこれです。

三養食品が激辛即席麺「불닭볶음면(プルダッポックンミョン)」味のスルメを出していました。

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辛さ控えめで甘さの方が主体だったので、「まあまあ」の評価をくだしたいと思います。

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お酒を飲むとチーズも欲しくなる。

「맥스봉(Maxbon)」のチーズですな。

ラベル下部に「BONNIE」とあるのはキャラクタの名前みたいですね。

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このBONNIEの大きな頭はアフロなのか何なのか、と悩みます。

すました顔してるけど大丈夫なのか、BONNIE!

チーズはまっとうなお味でした。

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お酒が進みます。

こちらも韓国のメクチュ、Cassであります。

Freshだそうです。

この缶のラベルのデザイン、美味しそうでいいですね。

こちらも苦味そこそこ、飲みやすいメクチュです。

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テレビ放送で「트로트(トロット、韓国演歌)」の番組をやっていたので見ています。

私は日本の演歌はよく知らないのですけれど、トロットは好きでよく聞いているのです。

韓国旅行でモーテルに泊まると、韓国のテレビ番組がいくらでも見られるのは嬉しいです。

ニュース番組、バラエティ番組等の視聴を通して、韓国の世相も味わえますよね。

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