2015-12-04から1日間の記事一覧

『お白湯で妄想する寒い夜』

熱いお白湯をふうふう吹いて飲みながら、私は考えている。 たまには美味しい玉露のお茶を淹れて、舌の上をころころ転がしてから飲みたいな、などと。 しかしだ。 今は最低お白湯は飲むことができるのだから、まだいい。 しかしそれがかなわなくなったらどう…

『戦乱の世、長芋を脅し取る』

米びつには米一粒すらない。 「もう食べるものがないよ」 米びつの中をのぞきながら、おっかさんがそうおっしゃる。 長引く戦乱で、稲の手入れに人手は割けず、かろうじて実った稲穂には火がつけられた。 でもこうして家が残り、母子で無事生きていられるだ…