『韓国人の研究』黒田勝弘

韓国人の研究 (oneテーマ21)

基本、私は韓国関連の本は自分の娯楽につながりそうなものしか読まないのです。

ざっくり言うと旅行記、歴史本、韓国作家の書いた小説などです。

書店に行けば平積みされている「嫌韓本」の類は、読んでも私の娯楽にはなりません。

なのでこれまで、自分の読書からは除外してきています。

 

で、この黒田勝弘氏の『韓国人の研究』。

恥ずかしながら、黒田氏のことはよく存じ上げずで。

彼が産経新聞に所属してソウルに長年駐在している、という経歴だけ見て「産経の人、ならこれも嫌韓反韓本の類か?」と若干色眼鏡付きで見てしまったのです。

実際はそういうことはありませんでした。

中身を軽く流し読みしたら何だか面白そうだったので、通読してみることにしました。

筆者は30年以上韓国に滞在しているそうで、70年代の頃から韓国の社会、風俗について見聞きしているのですね。

韓国、韓国人にまつわる事柄を、彼らへの愛情を感じさせる文章で紹介しているので、韓国好きとしてはとても読みよいです。

とはいえ韓国べた褒めというわけではなく、例えば日本の「反韓」の流行を韓国の報道機関の「過剰な反日報道」への反応だとして、時に曲解混じりの「反日」情報を流し続ける韓国メディアに対して苦言を呈しています。

実際、私も韓国の各新聞社が日本語で提供するウェブ上のニュース記事を普段読んでいまして。

それで度々、日本批判の記事を目にするものですから、確かに韓国に反感を持つ人たちが刺激されるのも無理は無いと思いました。

 

黒田氏のように韓国人と深い付き合いを持っていれば、韓国人の「反日」はあくまで彼らの生活のごく一部に過ぎない、と相対化できるわけです。

そうした韓国と韓国人についての総合的な情報も実感も無しに、韓国メディアからの日本語での日本批判記事を選んで読んでばかりいるとすれば。

次第に韓国嫌いになっていくのかもしれません。

これはかなりもったいないことだし、双方にとって不幸ですよね。

韓国人が日本人と仲良くなることで得られることはあるはずだし、逆もまたそうなんですよね。

韓国に反感を持つ日本人から「韓国のことを知って何が得られる?」と聞かれたときに、『韓国人の研究』の中から答えを探してみるのはいいかもしれません。

同時に韓国人から同じことを聞かれたときに何と答えるべきか、私はそれをおいおい探していきたいと思います。

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