『日本の深層文化』森浩一

パン食をとることが増えてお米を食べる回数も減りました。

でも依然として、日本人の食卓を代表する主食として思い浮かぶのはお米です。

この主食としてのお米も、昔はそうではなかったのですね。

日本の深層文化 (ちくま新書)

数年前に逝去されました、森浩一先生の『日本の深層文化』です。

日本全国に稲作が普及して米食が一般化する以前の、古代日本の姿を本書で探っています。

 

穀物である粟、水田とは違う恵みをもたらす野原、海産物、鹿、猪、鯨。

日本列島では様々な食材が取れました。

水田開発が進んだ時代以降に日本の環境も様変わりしましたが、それ以前の日本はまた違った姿を持っていたのですね。

森先生は、各種の史料を参考に、そうした古代の風景を描写されています。

食べることは生きることの基本なので、その時代ごとの文化も風景も、食べ物を中心に展開します。

お米以外の食べ物を主食とした時代の日本は、現代の日本から見ると異世界のようなところでした。

そうした古い時代の面影が、各種の食べ物をとおして現代の日本でも垣間見られるのは面白いことです。

将来もし日本の一般的な主食がお米からパンに移り変わりでもすれば、お米もまた古き日本を偲ばせる象徴的な存在になるのかもしれない。

本書を読みながらそう思いました。

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