『ホーダー 捨てられない・片づけられない病』ランディ・O・フロスト、ゲイル・スティケティー

時折テレビ等で「ゴミ屋敷」だ、「猫屋敷」だ、と何かを異様に溜め込んでしまう人たちが報道されますよね。

だいたいにおいて「困った人たち」という視線で報道がなされますよね。

周囲の人は迷惑するので、無理もないのですけれども。

でも何となく、彼らの問題が他人事とも思えないんですよね、私には。

ホーダー 捨てられない・片づけられない病

『ホーダー 捨てられない・片づけられない病』。

ランディ・O・フロスト氏とゲイル・スティケティー氏の共著です。

翻訳は春日井晶子氏によります。

「ガラクタ収集癖(ホーディング)」を持ち、生活に支障をきたすまで物を溜め込んでしまう人たち。

彼らは「ホーダー」と呼ばれます。

本書はホーディングを長年研究してきた著者二人が出会った、ホーダーの人たちの記録です。

 

家の中を収集物でいっぱいにしてしまい、生活もままならないホーダーの人たちが登場します。

ペットを飼いすぎてしまう「動物ホーダー」の人も紹介されます。

彼らホーダーは好きな物を集める欲望と、好きな物をいつまでも持っていたい欲望を、抑えることができません。

際限なく物を持ち帰り、それらを捨てることができないので、物が溜まる一方になるのです。

彼らの中には自分の収集癖が度を越していることを自覚している人もいれば、自覚していない人もいます。

ホーディングは強迫性障害の一種で、どちらにしろ本人の努力だけでは極端な衝動を抑えるのが難しいんですね。

事態の改善のために他者からの理解と支援が必要になるわけです。

生活に支障をきたして、本人と周囲との関係も悪化する以上、ホーダーの人たちをそのまま放ってはおけません。

ただ私にも、書籍、雑誌に新聞、あと保存食料を溜め込む癖がありましてですね。

ホーダーの人たちが好きなもので身の周りをいっぱいにしてしまう気持ちに共感できるんです。

 

「自分の生活を豊かにする」「安心する」ために物を集める行動は、現代人の生活の中で自然ですよね。

好きな家具、調度品、食料等で居住空間を満たすことが、豊かさにつながるといいますか。

ホーダーの人たちは、不幸な生い立ちなど、何かのきっかけでそうした行動が度を越えてしまったんですよね。

現代に生きる私たちの消費行動を象徴化した存在がホーダーだと、私は思うわけです。

それなので、他人事とは思えなくて、同情してしまうのです。

そして同情以前に、私も机の周囲が積ん読本に占められつつありまして、その対策に苦しんでいるのです。

物を捨てるとか処分するとか、本当に気が重いですよね。

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ホーダー 捨てられない・片づけられない病

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