『オリオン座はすでに消えている?』縣秀彦

観測できる星の姿って、今現在の星の姿とは時間差があるんですね。

オリオン座はすでに消えている? (小学館101新書)

縣秀彦氏の著作『オリオン座はすでに消えている?』を読みました。

冬の空で見られるオリオン座。

皆様ご存知ですよね?

ギリシャ神話に出てくる神、「オリオン」の姿に見立てられる星座です。

そのオリオンのちょうど右肩のあたりに位置する、ベテルギウスという星があります。

この星が、もう消えているかもしれないと著者は言うのですね。

 

 ベテルギウスという星は比較的地球から近い星なのだそうです。

その距離、640光年。

ベテルギウスから地球まで、光の速さで640年あれば到達できる近さなのです。

星の姿は、その輝きが地球まで届くことによって観測できます。

それで640光年の距離ですので、今現在地球から見えている姿は、640年前のベテルギウスということです。

640年前のベテルギウスを見る限り、星としては老齢であることが明らかになっています。

ある程度の重さを持った星は星の寿命が来ると「超新星爆発」を起こします。

ベテルギウスはもう、いつ超新星爆発を起こしてもおかしくない状態なのだそうです。

もっと言うと、今私たちが見ているベテルギウスの姿は640年前のものなのですね。

時代で言えば西暦1376年。

日本は将軍足利義満が権威を振るっていた室町時代です。

もしかしたら、その1376年より後、ベテルギウスがすでにもう超新星爆発を起こしているかもしれないわけです。

爆発から640年経ったとき、初めて私たちはそれを知ることができるのですね。

冬の空で私たちはベテルギウスを含むオリオン座を眺めて綺麗だなーなんて言ってますが。

もう生のオリオン座は、成立してないのかもしれないってことなのです。

そして近いうちに、空でベテルギウス超新星爆発を目撃する日がやってくるのかも…。

 

本書では、この超新星爆発の様子と、宇宙空間の成り立ちについても解説されています。

よく膨大な数のことを「天文学的な数字」なんていいますけど、本書を読んでてめまいを覚えてきました。

宇宙が出来てからの何十億年という歴史と、これからも続くであろう時間の中では、人間の歴史も640年も一瞬です。

私が日常のことをうだうだ悩むのも、足利義満が配下の大名たちとの関係に悩むのも。

宇宙の歴史の過程では、同じく昨日今日の些細なことなんですよね。

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