『龍の棲む日本』黒田日出男
「日本は私が思っていたような国ではなかった!」という驚きを体験するするためにですね。
日夜、本を読んでいるわけなのです。
黒田日出男氏の『龍の棲む日本』です。
現代に生きる私が「日本の国土」と聞いて連想するのは、日本地図にある日本列島の形であります。
そして、自分の目で見た日本各地の風景です。
日本の「国土」という言葉は物理的な「国土」をしか意味しません。
ところが、かつての日本の人たちにとっての日本の国土は、私のものとは違ったものだったのですね。
著者は絵巻物、古地図に描かれた日本の姿から、中世の人たちの日本観を明らかにしていきます。
各地の信仰の場、史跡などを旅していて、何度となく「龍」をあしらった意匠を目にしていました。
中国から伝わった龍が、格好いいからデザインに使われたんだろうなーと。
それぐらいにしか私は思ってなかったんです。
ところが、本書によれば、中世の人たちにとって龍という存在は巨大な意味を持っていたようです。
龍の存在が、為政者から民衆まで。
人々が日本という国とその国土を認識するうえでの、大きな役割を担っていたのですね。
本書を読んで、なんだか今日から私まで、日本の風景を見る目が変わってしまいそうです。
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