『恐山 死者のいる場所』南直哉
日本の霊場、恐山。 いったいどんなところなのでしょう。
『恐山 死者のいる場所』、南直哉氏の著作です。
筆者は曹洞宗の大本山、永平寺で長らく修行された後、恐山を管轄する曹洞宗の寺院に勤めておられます。
本書は著者の講演を活字に起こしたものと、講演調で書かれた文章から成ります。
恐山を管轄するのは曹洞宗のお寺です。
ところが、参拝者たちは、禅宗の寺院に求めるとのは違ったものを抱いて恐山にやって来るのです。
禅僧である南氏が、禅宗の教えだけに従っていては参拝者の気持ちに寄り添うことが難しかったのですね。
そんなところから、著者は恐山がどういう霊場であるのか、明らかにしていきます。
恐山にあって見聞きした出来事を表す著者の文章は、論理的でとても読みやすいです。
人々が抱く恐山への様々なイメージには若干距離を置きながら、参拝客の気持ちには寄り添う。
そんな心遣いも読み取れました。
本書で、恐山が信仰の中でどんな役割を担ってきたのか、感じられたような気がします。
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