『ホームレス農園 命をつなぐ「農」をつくる!若き女性企業家の挑戦』小島希世子

私、農園でアルバイトしたことがあるんです。

ある種の流れ作業でした。

コツがわかれば作業自体は難しくはありません。

ただ量をこなさないといけなくて、長時間、無理な体勢でいないといけないんですね。

休憩時間も短くて、せわしない。

それで肉体的には非常につらかったんです。

ただ、ひとつの作業に没頭していればいいので、悩んだり迷ったりすることはなかったです。

また農園の周りが自然に囲まれてまして、いい環境だったんですね。

休憩時間に緑の中でお弁当を食べてると、本当にのどかな気持ちになりました。

生きてる実感があったんです。

この本を読んで、そんな自分の体験を思い出しました。

ホームレス農園: 命をつなぐ「農」を作る! 若き女性起業家の挑戦

『ホームレス農園 命をつなぐ「農」をつくる!若き女性企業家の挑戦』。

小島希世子氏の著作です。

 

農業で起業した小島氏は、野菜のことを一般の人たちに知ってもらうための体験農園をつくります。

農業体験は通常土日に行われますが、平日にも農園の管理は必要です。

小島氏はその平日の管理を、ホームレスの人たちを雇用して担ってもらうことを思いついたのですね。

これが、彼女が農業の現場でのホームレスの人たちの就労事業を始めるきっかけになったのです。

 

日本の農業の現場は慢性的な人手不足です。

そして、仕事に就くのが難しいホームレス、ニートの人たちが従事できる作業も、農業の場にはあります。

ですから双方の橋渡しがうまくいけば、いいことづくめになるはずなのです。

でも、物事は簡単にはいかないのですね。

雇用されたホームレス、ニートの人たちはそれぞれ生きづらさを抱える事情があります。

ビジネスとしての農業も、決して簡単なものではありません。

そんな状況で、一緒に農場で働く人たちに向き合い支えながら、農業の将来も切り開こうとする著者。

パワフルです。

農園で働くことの心地よさに、小島氏は本書で何度も触れています。

その心地よさがあってこその、彼女のがんばりなのですね。

つらいことはあっても、励まし合いながら皆で淡々と働ける農園という空間に、私もまた行ってみたくなりました。

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