『長崎奉行のお献立 南蛮食べもの百科』江後迪子
長崎って異国情緒があって、面白い土地ですよね。
江後迪子氏の『長崎奉行のお献立 南蛮食べもの百科』です。
江戸時代、長崎は日本唯一の外国貿易港がある土地でした。
中国、オランダと公式に貿易をしていたのです。
長崎には、その管理のための奉行所が幕府によって置かれていたのですね。
中国、オランダの商人たちと交流があるので、長崎は国際色が豊かでした。
本書ではその奉行所に赴任した奉行が現地で食べた食事、また長崎での庶民の食事等を解説しています。
長崎での食事、やはり江戸時代としては異色です。
しっぽく料理(中国式の料理)、ターフル料理(南蛮料理)など。
また江戸時代には一般的でなかった肉食などの習慣も、外国から伝わりました。
しっぽく料理、また牛肉料理などは、大名たちにも人気が高かったのですね。
しっぽく料理を作る料理人を自分の藩に抱えていた大名すらあったそうです。
西洋から伝わったお菓子、酒なども紹介されています。
洋菓子のカステラが代表的ですが、今では長崎以外でも広まっていますね。
本書では外国の文化、料理に関心の深かった各時代の大名たちについての記述もあります。
禁じられた異国の風習も、好奇心の強い人たちによってやがては世の中に浸透していくのがわかります。
人の好奇心を封じることは、誰にも不可能なのですね。
だからこそ、いつの時代も世の中は変化していくのだと思います。
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