『小心者的幸福論』雨宮処凜
毎日つらいです。
この四月から新しい雇われ仕事に行っているんですが、つらいです。
フルタイムなうえに、残業も多い仕事場でして。
仕事内容自体も、職に困っていたので選ばずに来ましたが、慣れません。
さらに言うと、職場の先輩方と上手くコミュニケーションが取れないんです。
「仕事は見て盗め。無理なら自分で聞き出せ」という雰囲気の職場で。
自分から積極的に仕事について探らなければ、何にも体得できないのです。
そんな場所で、勇気を振り絞って先輩に、業務についての質問をした際にですね。
私は答える相手の反応、言葉遣い等の反応ひとつでも気にしてしまう方で。
相手の返答が要を得ないときでも、なんとなくその場でうなずいてしまったり。
わかった気になったりしてしまうのですね。
その結果、後から「貴様は答えを聞いてわかったような顔しておきながら、何にもわかってなかったじゃないか」と。
叱責を受けてしまいます。
わからないことをわかるまで聞く…にしても、相手の反応が気になるのですね。
自分としては、慣れない職場で相手と円滑な関係を築きたい…とそう思っての態度が、ことごとく裏目に出てしまうのです。
私は小心者です。
そんなわけで、とにかく今、生きるのがつらいです。
そのつらい折にこの本を再読しました。
雨宮処凜氏の『小心者的幸福論』。
もとが小心者で劣等感もあり、世の中の「声のでかい人々」「幸せな人々」に対する嫌悪感を隠さない雨宮氏。
その彼女が、自分と同じく世の中で行きづらい思いをしている小心者たちのために贈る、一冊の癒しの書であります。
社会的成功とは無縁なのにとにかく楽しく生きている、雨宮氏の友人たち。
自由気ままに、何を成さずとも誰に認められなくても「生きる楽しさ」を満喫する、猫たち。
そして自身も小心者で不幸で、自分を受け入れない世の中を憎んでいたのに。
多彩な社会活動への参加がきっかけで生き方が変わって。
最終的に、文筆業という生活の糧を得ることができた雨宮氏自身。
本書では、自分が今生きている環境ですぐ使える処世術を並べているようでもあり。
その実、「人生の中で細かいことなんて、どうでもいいじゃないか」というところに落ち着くのですね。
人並みに努力したり苦労したり気を遣ったり、社会的に成功していることが必ずしも幸せとは限らないかも…。
と、なんだか読む私の不安感とか世の中に対しての絶望感を、緩めてくれるのですね。
小心な人も不器用な人も、それなりに楽しい生き方はできるはず。
雨宮氏は本書でそんな可能性を示してくれるのです。
今いる場所で理不尽だと思っても踏ん張って耐える!のは立派かもしれない。
でもそうではなく、「どうでもいいや」と深刻にならずそれなりの気持ちで受け流した方が、楽しく生きられるのでは。
そういう気持ちになれました。
私が今の職場でそれなりに居場所を見つけられるか。
それとも、早々に辞めてしまってもっと心地のよい人生を模索するか。
最終的には自分が楽しく生きられるならどちらでもいいな、と今、思っています。
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