『ロシアとサンボ 国家権力に魅入られた格闘技秘史』和良コウイチ
私、サンボという格闘技には、もともと興味があったんですね。
『ロシアとサンボ 国家権力に魅入られた格闘技秘史』を読みました。
サンボをご存知ない方もおられるかもしれません。
サンボは、ロシアの格闘技で、一見したところ日本の柔道によく似ているんです。
選手は、上半身に柔道着、下半身にはスパッツを履きましてね。
マット上で、投げ技、関節技による一本。
もしくは、押さえ込み技も含めたポイントを狙う競技なんです。
柔道に比べると、押さえ込み技よりも関節技による一本がより重視された競技なんです。
日本でも、プロレスですとか、総合格闘技の興行で。
このサンボ出身の選手たちが多数登場し、ファンの人気を集めたのですね。
それがきっかけになって、日本でもサンボの名が広まることになったのです。
本書で著者は、サンボ発祥の秘密を探ります。
というのも、サンボは日本では「日本の柔道から派生したもの」と思われていたのです。
しかし実際のところ、その来歴には不明な点が多かったのです。
サンボという競技が政治と結びついた結果、旧ソ連、またロシア国内でのサンボの扱いは紆余曲折を経てきました。
その過程で、サンボ関係者が語るサンボの来歴も、二転三転してきました。
そのせいで、その競技の実像についてはよくわからない面も多かったのですね。
本書は、著者が現地に渡り関係者へのインタビュー、関連書籍などを通して集めた、サンボの真実についてのルポルタージュです。
読後、サンボという競技と、旧ソ連、ロシアという国への関心が高まりました。
国家が介入すると、長い年月の間に、物事の真実は簡単に隠されてしまう。
そういう怖さも、読み取れます。
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