『ハゲとビキニとサンバの国 ブラジル邪推紀行』井上章一
今年、2016年8月5日から、リオデジャネイロオリンピックが開催されるそうで。
オリンピックはともかく、私ブラジルって国には結構興味を持っているんですよね。
ブラジルについて書かれた、面白い紀行本があります。
井上章一氏の『ハゲとビキニとサンバの国 ブラジル邪推紀行』…。
激しいタイトルですね。
リオデジャネイロに、公立大学の教員として短期間滞在した著者。
彼が、現地で見聞きした面白い話が本書につまっています。
導入が、「ブラジルではハゲがモテる」という噂の検証から始まるんですね。
その過程でブラジル人の「ハゲ」に対する意識をあぶり出すくだりが刺激的です。
続く章でも、刺激的な題材が続きます。
なぜか現地の害虫駆除業者たちは、日本の都市の名を会社名に使う。
汚れ役を強いられる、若い日系女性タレント。
ビーチで特訓する、子供忍者たち。
ボサノヴァの定番『イパネマの娘』で名を馳せたイパネマ・ビーチ、そこに集まるビキニ女性たちの実際。
ブラジル男性の、女性の臀部に対して見せる並外れたこだわり、等々。
ブラジルの風俗を日本のそれと対比することで、ブラジルという国の面白みが見えてくるんですね。
また、ブラジルと日本との知られざる繋がりも垣間見えます。
私はこの本のタイトルを見たときからですね。
ブラジル人の柔術家、ヴァリッジ・イズマイウのことを連想しながら読んでいました。
そういう、荒々しいファイトが売り物の、禿頭のブラジル人格闘家がいまして。
かつて日本のリングでも活躍していたんです。
荒々しい、ハゲの男の国。
しかし本書を読むと、ブラジル男性も多様化していて。
必ずしもそんな男らしい男ばかりではないということも、わかるのです。