千本桜に史跡の宝庫。吉野町の旅

桜の季節になったのだから、桜の名所に行きたい。

そう思っていたところでした。

それで最近奈良県観光に目覚めたこともありまして、奈良県内の桜の名所、吉野に行ってきたのです。

 

早めに出発し、近鉄電車で吉野に向かいます。

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近鉄吉野駅に着きましたぞ。

しかし、事前にわかっていたことではありますが、着くなりこの雨模様!

先行きが思いやられます。

持参した傘をさして、歩いていきますよ。

吉野駅の近くに吉野山上に登るためのケーブルカー駅があるんですね。

しかし私はそちらには向かわず、歩いて山上に登る道を行くことにしました。

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七曲坂です。

ぐねぐねと曲がるゆるやかな坂道を登っていけば、吉野山上に行けます。

吉野山には桜の木が植えられている「下千本」「中千本」「上千本」「奥千本」という四つの地域があるんですね。

そして今から登る七曲坂辺りが下千本と言われています。

坂道に沿って、桜の木が植えられていましてね。

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でも時期が少し早かったのか、満開とは言い難い咲き具合であります。

少々残念ですね。

まあせっかく吉野まで来たのですから、控えめな桜の花を見ながら、観光もしていきたいと思います。

七曲坂を登り切ると、吉野山上の目抜き通りに入ります。

吉野山上にある修験道の本山、金峯山寺への参道なのですね。

道沿いには土産物、食べ物を売るお店が並んでいてにぎやかです。

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食べ歩きをしようと思って、葛もちを買いました。

350円。

わりとお値段しますが、モチモチ食感に葛の風味、きな粉と黒蜜の控えめな甘さが嬉しいです。

大好きです。

葛を味わうと、吉野に来た感じがします。

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歩きながら葛もちをいただいていたら、いい感じの食堂を見つけました。

時間は少し早いですが、散策するなら早めに食事は済ませておいた方がいいと思いまして。

もう中に入ってしまいます。

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吉野に来ても、とんこつラーメンを注文。

600円でした。

ワカメにゆで卵、チャーシュー、ナルトが入れてくれてあります。

スープの味と麺の具合は、懐かしい食堂のラーメン、といった印象でした。

ナルト自体が最近のラーメンでは見られなくなりましたよね。

窓から遠くの山々を眺めながらお座敷でのんびりいただくラーメン。

なかなかのものでした。 

 

吉野でもラーメンをいただくことができて、満足しました。

これから金峯山寺に向かいます。

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金峯山寺の山門が見えてまいりました。

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修験道の開基、役小角(えんのおづぬ)が開いたお寺なんですね。

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山門を抜けた向こうに、本堂の蔵王堂があります。

立派な建築でした。

境内には修験者の方々の姿もあり、さすがに修験道の本場の雰囲気です。

 

参拝を済ませて、金峯山寺を後にします。

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金峯山寺の近くに、ありました。

噂に聞いていた、吉野山上のモスバーガー店舗。

先に昼食を済ませたので入りませんでしたが、吉野観光の最中にモスバでランチ等できるのはいいですね。

 

さてこれから、前もって楽しみにしていた場所に行きます。

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吉水神社という場所なんですね。

もともとは修験道の、格式のある僧坊だったのですね。

平安時代には兄の手から逃れた源義経静御前とが潜伏していました。

さらに南北朝時代にはここを南朝の皇居として、後醍醐天皇がおわしたのですね。

後の安土桃山時代になると、天下人豊臣秀吉が花見を行った際の本陣となっています。

現在のような神社になったのは明治に入ってからだそうです。

様々な時代に、歴史を動かした偉人たちが住んだり訪れたりした場所なんですね。

吉野に来たときに、見逃せない史跡のひとつなんです。

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高台にあって、境内から向かいの山肌を埋める桜の花を眺められる名所でもあります。

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一目で千本が目に入るんだそうな。

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開花の有無はともかく、千本は見ることができたと思います。

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南朝皇居であった書院。

400円の拝観料を納め、中を見学することができます。

書院建築に加え、源義経後醍醐天皇豊臣秀吉にまつわる諸々の所蔵品を見ることができます。

入ってきました。

私は特に、後醍醐天皇がおわした玉座に心を奪われました。

凄い場所です。

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境内の北側には北闕門(ほっけつもん)と言う門があります。

後醍醐天皇のご生前、毎朝起床されるとこの門の前に立たれ、北に向かって「九字の真法」と呼ばれるお祓いの作法を行われたのだそうです。

九字の真法は陰陽道に由来するものなのですね。

両手で印を結んだ後「臨兵闘者皆陣列在前」の言葉と共に、手先で九度、空を切る。

よく昔の忍者映画で忍者が忍術を行う前に見せる作法です。

吉野の北方の京の御所に、いつか戻りたい。

そんな後醍醐天皇のお気持ちが、九字真法の逸話からうかがえるように思います。

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書院からは庭園と、谷を挟んだ向こうの金峯山寺蔵王堂とが眺められます。

 

見学を済ませて、再び目抜き通りへ。

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文豪の宿として有名らしい、「櫻花壇」という老舗旅館が道沿いにありました。

谷崎潤一郎吉川英治といった文豪、さらに新しいところでは作家の内田康夫先生が宿泊してここで『天河伝説殺人事件』を執筆されたんだそうです。

私、今回吉野に来る途中、電車の中で谷崎潤一郎の『吉野葛』という吉野を舞台にした小説を読んできたんですよ。

この櫻花壇、谷崎が『吉野葛』を執筆したまさにその場所なんですね。

感慨深い思いで旅館を外から眺めました。

 

これから、如意輪寺というお寺に向かいます。

そこには後醍醐天皇の御陵があるのです。

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五郎平茶屋なる茶屋跡の高台を経由して、如意輪寺のある山へ。

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なかなかに長い道のりであります。

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ようやく如意輪寺の山門が見えてきました。

息を切らして道を行く、参拝客の方々。

最近体力の落ちていた私も、同じように息切れしています。

境内に入り、まずは後醍醐天皇陵へ。

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鎌倉幕府を倒し、建武の新政を成された後醍醐天皇

しかし後に京を追われて吉野に南朝を興し、京に戻ることかなわず、この地で崩御されました。

私も厳粛な気持ちで御陵にお参りいたしました。

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こちらは如意輪寺の本堂、如意輪堂であります。

ご本尊の如意輪観音のお顔が拝めます。

とても美しい顔の仏像でした。

 

如意輪寺は後醍醐天皇勅願寺であり、その関係で南朝方の武将、楠正行(くすのきまさつら)にもゆかりがあるのですね。

南朝方の武将であった正行が、吉野から大坂の四条畷の戦場に向かう前に、この如意輪寺に立ち寄り後醍醐天皇の御陵に参拝したのだそうです。

その際、すでに戦での死を覚悟していた正行は、寺の門扉に鏃の先でもって辞世の句を刻んだのでした。

現在、境内の宝物殿にその門扉が保存されていて、見学することができます。

拝観料400円を収め、宝物殿と多宝塔があるエリアに入りましょう。

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雨足が強くなってくる中、多宝塔の写真を撮りました。

立派なたたずまいです。

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多宝塔の周囲にも、桜がよく咲いています。

 

如意輪寺で後醍醐天皇の御陵を拝み、楠正行の辞世の句も肉筆を拝むことができました。

近鉄吉野駅に戻ります。

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如意輪寺の近くから、吉野駅に向かう近道があるんですね。

この林道を歩いて行くんです。

通る自動車も少なめなので、歩くのが楽しい。

ただ距離は一キロか二キロか、そこそこ歩きました。

吉野駅に到着です。

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吉野駅ホーム。

終着駅感が出てますね。

私これから帰るので、始発駅なわけなんですが。

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駅前の売店で買った吉野の地酒、「猩々(しょうじょう)」をいただきながら帰ります。

それでは皆様、ごきげんよう

吉野の旅でした。

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