韓国旅行二日目(2)。ユネスコ世界遺産、公山城。外壁上を一周
公山城に向かいます。
宋山里古墳群方面から来ると、煉瓦造りの門を通ることになります。
その向こうにロータリーがあって、公山城の入口ですね。
この煉瓦の門、武寧王陵の玄室の煉瓦の文様を模してありますね。
側面には出土品の鏡の巨大なレプリカまで掲げられています。
日差しがきつい中、とうとう公山城に来ました。
公州が熊津と呼ばれていた百済の都だった頃、都を守る城でありました。
錦江を望む高台の上の山城です。
入場料1200ウォン(約120円)を支払い、入場します。
山城の周囲を、石垣の城壁で囲んであるのですね。
城門の上には東屋があって人が待機できるようになっており、櫓のような場所なのですね。
公山城前のロータリー沿いにいい感じのカフェ、飲食店が集まっています。
城壁の上は歩道として整備されているのはいいのですけれど、コンクリートで固められてしまい、情緒はありません。
まあそれはそれとして、今回の公山城探索、この城壁の上を歩いて一周してこようと思っています。
公山城の警備にあたった警備兵たちの気持ちを追体験してみようかな、という目論みです。
わりとぐねります。
城壁が。
視界が開けたときには、すかさず景色を撮っていきます。
山並が街に近くて綺麗です。
向こうから来る人とは体を傾けてぎりぎりすれ違える程度の幅で、転落防止の柵もなし。
足を滑らせたら、崖下に滑り落ちてしまうような状況でした。
私は重い荷物を背負いながら歩いているので、時々足元がふらついて肝が冷えます。
百済時代の警備兵たちはバランス感覚に優れていたと見えます。
途中、城壁の近くに平地がありました。
日本の城でいうところの二の丸とか本丸の雰囲気。
この平地に、食料庫など建物がいくつかあったようです。
建物の柱の跡が発掘されていますが、現在は芝生で覆われてよくわかりません。
城壁散策に戻ります。
鎮南楼という門を兼ねた東屋で、南側の防備にあたる櫓門のような施設だったようです。
ここからさらに上り勾配。
つらいです。
四聖獣の朱雀の絵柄の旗がはためいていますが、ここが公山城の南に面しているからですね。
朱雀は南を守ります。
まだ坂道が続きます。
坂の途中で旗の絵柄が青龍に変わっていました。
東の方角を守る青龍、ということは東側に来ているのですね。
うっそうとした場所に、東門です。
ひと気が無いかと思ったら、観光客の人が東屋の中でベンチに座って休んでいました。
城壁の上を歩いている人は私以外にはあまり見かけませんけれど、公山城内には散策路がありますので、皆さんそこを通ってくるのですね。
この斜面を駆け登っての城攻めは、無理ではないでしょうけれど苦しそうです。
公山城の北側は、錦江に面しています。
あの向こう側は、昨日私がソウルからの高速バスで着いた公州総合バスターミナルのある町です。
遠くには高層集合住宅のビルが林立していて、結構な眺めでした。
地方の小都市でも、あれだけ集合住宅があれば人口は結構な数になるのでしょう。
樹木の合間にまた平地があって、大きな建物が見えます。
臨流閣と言って、錦江を臨む場所に建てられた宮殿のようでした。
天井の意匠が美しい。
いつの時代に建てられたのかわかりませんが、凝っています。
樹木のおかげで、臨流閣の上から錦江を臨むのは残念ながら無理です。
臨流閣の傍らに、石碑が三本立っています。
「明国三将碑」とありますね…。
詳細はわかりませんが、日本の安土桃山時代、豊臣秀吉率いる日本軍が朝鮮に攻め込んだ折、明国から防備に派遣された三人の将軍を顕彰する目的のようでした。
もともとこの地の百済は古代日本と親密だったわけですが、古い時代の日本との結びつきよりも日本から受けた被害の方が新しいだけに、土地ではこういう史跡の存在感が強いのかな…と。
百済史跡が目当てで来ていますので、微妙な気持ちになります。
土地の記憶は重層的なのですね。
いよいよ錦江が目前に拝める場所に来たようです。
深呼吸しました。
川向こうには公州総合バスターミナルのある界隈です。
錦江のこちら側と向こう側とでそれぞれ街が別個に発展しているような感じですね。
街の北側には高層集合住宅は立っていません。
街の南側はもう建物が本当に少ないですね。
街の南限なのですね。
ここから今度は下り勾配に入りました。
つんのめって坂を転げ落ちそうな感覚を覚えます。
低くなって錦江と面した場所に、不思議な施設がありました。
これから降りていきます。
件の施設の奥にはなぜかお寺があって、お坊さんが木魚を鳴らして勤行の最中でした。
お寺の前には水が湧いています。
本当に日差しがきつい日で、手持ちの飲み物も飲み干してしまい、喉が渇いていました。
本当に喉から手が出るほど目の前の冷たそうな水を飲みたい気持ちです。
ただ韓国では基本的に水道水は飲用に適しておらず、飲めません。
目の前の水が飲めるものなのかどうか、確証も無く。
水分に餓えながら、我慢して手先を洗うだけに留めました。
未練がましく、顔も洗わせてもらいました。
冷たくて気持ちのいい水でした。
お寺から件の施設まで、トンネル通路が通っています。
しかしお寺のお坊さんもここを通ることはないのか、中には蜘蛛の巣が張っていました。
蜘蛛の巣に引っかかるのは嫌なので、遠回りしていきます。
「蓮池」という場所だそうです。
錦江と繋がった、公山城の取水施設なんですね。
内部に隠し門もあって、城壁の外からこの蓮池まで秘密の通り道も繋がっているんだそうです。
見たところはどこに秘密の通り道があるのかわかりませんでした。
池の底なのでしょうか…。
蓮池からさらに城壁の上を進みます。
こんな城内に横穴式古墳が…と思ったら、1915年につくられたコンクリート製の貯蔵庫で、お蚕さんを貯蔵する用途のものだということでした。
絹をつくる虫の、蚕です。
蚕は冬から4月頃まで冬眠するのですが、彼らの食料になる桑の葉は5月にならないと取れません。
それでこの貯蔵庫内を氷で冷やすことで蚕により長く冬眠させて、人為的に目覚める時期を遅らせるのだそうです。
お蚕さんを育てるには手間がかかるのですね。
四聖獣の玄武が守る北の方角まで来ました。
ようやくです。
通り道にもなっている拱北楼です。
左の方で昼寝中のおじさんがいたので、物音をたてないようにしました。
この拱北楼の裏手に野原が広がっています。
いつの時代のことかわかりませんが、現地の案内図によると昔はここに市場があって行き来する人で賑わっていたそうです。
山城の城内に市場がある、というのは面白いですね。
拱北楼まで来れば最初に入ってきた城門が近いはずなのですが、その前にまた登り道。
もう喉は乾燥しきっているし歩き疲れて、心はすでに折れています。
展望台なのでした。
奇岩も目を引きます。
せっかくなので展望台にまで上がって、この眺め。
悪くないです。
ここまで来ると心地いい風が吹いていて、私の横にいた観光客の女性がしきりに「シウォナダ」と言っていました。
シウォナダってちょうど最近覚えた韓国語で、心地いいとか気分がいいとか、そういう意味の言葉だそうです。
今回の旅の最中、展望台など風が吹いている場所に来る度に他の観光客が「シウォナダ」と口にするのを聞きました。
何か言葉の実感がわかってくるような気がしました。
展望台から入口の城門まで、至近距離です。
自然、駆け足気味になりました。
最後の四聖獣は、白虎でした。
西を守っています。
公山城の城壁上をようやく一周。
時間にして、おおよそ一時間強かかったと思います。
疲れた以上に、喉が渇きました。
いてもたってもいられず、ロータリー前のコンビニで、ペプシコーラを買い求めました。
いっき飲みしてしまいました。
…いまいち冷えてなかったですね。
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