白美(しろみ)は、女性の語りを聞き終えた。 ところどころ事情の理解の難しい点はあったが、要約すれば、女性は自分が許せなくなった。 そういうことだ。 失敗を重ねたり、人を傷つけたりして、自分が嫌になった。 それだけなのだ。 莫大な借金を抱えている…
雑居ビルの玄関は、両開きのガラス扉だった。 色の濃い分厚いガラス戸で、建物の内側はうっすらとしか見えない。 白美(しろみ)がおそるおそる中の様子をうかがっていると、脇から人の気配が近づいた。 「あんた、うちに何の用や」 見ると、大柄な男だ。 表…
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