『飯盛山城と三好長慶』仁木宏,中井均,中西裕樹,NPO法人摂河泉地域文化研究所
戦国時代、織田信長以前に天下人はいた!
そう言われて、特に日本史好きの人なら思い浮かぶ顔があると思います。
でもそうでない人には、誰のことかわからないかもしれません。
天下人という言葉の定義も議論されるところです。
それなので仮に天下人を、日本の政治の中心である京を掌握して全国に対して影響力を持った人、としましょう。
そう考えると、織田信長が京に進出して足利将軍を超える地位を築く前に、彼と似た立場に上り詰めた人物がいたのです。
信長以前の天下人。
- 作者: 仁木宏,中井均,中西裕樹,NPO法人摂河泉地域文化研究所
- 出版社/メーカー: 戎光祥出版
- 発売日: 2015/10/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本を読みました。
三好長慶(みよしながよし)は河内国(現在の大阪府東部一帯)に本拠を置く戦国大名でした。
同時に京とその周辺の国々を支配して、全国に巨大な影響力を持っていたのです。
足利将軍を凌駕する権力を手にした彼は、天下人と呼べる人物でした。
本書には、彼と彼の居城である飯盛山城(いいもりやまじょう)、そしてその周辺の各城と街、武将たちについて書かれています。
三好氏関連の研究を行う先生方が、それぞれ章を分担しています。
三好長慶という人物は、もともと阿波国(現在の徳島県)出身の武家なんですね。
彼は阿波国から現在の兵庫県の東部に上陸して、そこから次第に東へと本拠地を移していくのです。
いくつかの城を経て、彼の最終的な本拠地になったのが、河内平野の東の山上につくられた飯盛山城でした。
河内平野を通して摂津、河内、大和といった隣接する国々、そして京にも通じることのできる位置にある城でした。
山上に家臣の居住空間も備え、織田信長の安土城のように規模の大きい山城だったよううです。
この飯盛山城とそれを支える各城と城下町、寺内町等の有り方が各章ごとに明らかにされています。
三好長慶が、京を中心とした畿内支配のために、どんな意図を持って河内国での拠点づくりをしていたか。
それが各城と町の配置から、読めてくるのですね。
天下人、三好長慶の畿内支配の実際が、垣間見えたように思います。
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