韓国旅行三日目(2)。旧ソウル駅舎を眺める。姜宇奎の立像。ソウル路7017で明洞方面へ
地下鉄の車両の中で、「あと帰る前に見ておきたい場所はどこか?」と考えていたのです。
そういえば初日、シャトルバスに乗って旧ソウル駅の駅舎前を通ったことを思い出しました。
後でまた来よう、などとそのときは思いました。
行きましょう。
地下鉄ソウル駅で降りて地上に出ます。
旧ソウル駅前に現れました。
駅舎周りは広々としております。
今日もいいお天気です。
暑さは昨日に比べるといくらか緩やかですね。
東京駅に雰囲気がよく似てますなあ。
大阪の中之島にある中央公会堂を彷彿させるところもありますね。
東京駅を設計した辰野金吾から建築を学んだ、塚本靖の設計による駅舎です。
現在でも内部は一般公開されていて、往年の姿を示す各種の展示が成されている他、催し物会場としても利用可能なのだそうです。
私は中には入りませんでした。
旧ソウル駅舎前に、伝統的な衣装をまとった男性の立像があります。
よく見ると、右手に手榴弾を握っているんですよねえ…。
不穏です。
像台座に刻まれていた銘によると、姜宇奎(カン・ウギュ)という人物だそうです。
日本に帰ってきてから彼について調べました。
姜宇奎は朝鮮半島北部の出身で、1919年に現在の彼の像が立つ場所付近から当時の朝鮮総督だった斎藤実(さいとうまこと)を暗殺しようとして手榴弾を投げ、斎藤の暗殺には失敗したものの爆発で多数の死傷者を出しました。
初代韓国統監の伊藤博文が満州で安重根(アン・ジュングン)に暗殺された10年後のことでした。
暗殺未遂の翌年、姜宇奎は死刑になっています。
日本の歴史教科書にも出てくる安重根と違い、姜宇奎のことは私も全然知らなかったです。
韓国の愛国者にとっては、彼も「抗日独立運動」に命を捧げた英雄なのでしょうね。
日本統治時代が韓国人にとってどれだけ過酷だったか実感の無い身には、正直なところ安重根同様に姜宇奎もテロリストだとしか受け取ることはできません。
この辺りは、日本人が韓国人との間での感覚の齟齬を埋めることは難しいでしょう。
呑気に旧ソウル駅を眺めている時に手榴弾を手にした姜宇奎の立像に出くわして、冷や水を浴びせかけられたような思いでした。
現代になって、かつての日本統治時代の遺物である旧ソウル駅舎前に抗日の英雄の像を立てたことは、何かくびきを打ち込むような韓国人の決意表明なのかもしれません。
時代背景を考慮しても、テロリストを肯定する韓国人に必ずしも共感はしません。
ただ、他人の心を踏みにじるような真似をすれば、手榴弾ならずとも何がしかの物を投げつけられるであろうことは体感的にわかります。
踏みにじられた人が物を投げつけることしか許されていないのであれば、やはり物を投げつけるのです。
立場の弱い者が取れる暴力以外の手段を封じておいて、いったい暴力を批判できるのかどうか。
ここは倫理的に他人を尊重することがそのまま実利的な判断になるのではないだろうか、と思います。
まあ今は頭で考えてこんなことを書いていますけれど、いきなり手榴弾をぶつけられるような目に遭えば私だって「いくらなんでもそこまでされるいわれはないだろ」と言うとは思います。
楽しいソウル散策に戻りましょう。
高架上の遊歩道、ソウル路7017が通っていますね。
あの上を歩きたいですね。
螺旋階段が手近にあるのであそこから上りましょう。
ガーデニングというんでしょうか、松なんかの植木があって、緑成分が多いです。
もとはここ、自動車道だったんですよね。
上からソウル駅に入る列車の運行が見下ろせます。
噴霧器で激しく霧が出ている箇所があります。
衣服が湿りますが暑い折なので全然かまいません。
涼しいですね。
「장미무대(チャンミムデ、バラ舞台)」だそうです。
ここで何らかの催し物が開かれるのでしょうか。
ステージ上の小さな椅子を見て、私は腹話術劇を連想しました。
チョンパ洞って何か気になる響き。
チョンパ洞。
西のチョンパ洞方面は地上部付近の造園も素敵なのですが、チョンパ洞方面に特に用事はないんですよね、私は。
むしろ東の明洞方面に行きたいのですよ。
ソウル路7017、一度来た道をソウル駅付近まで戻って逆方向に進みます。
ラベンダー越しにうかがう旧ソウル駅。
こうすると上野公園に向かう連絡橋の上から見た上野駅界隈みたいな風景ですね。
大通りの向こうに南大門が望めます。
地上部に降りてきました。
南大門市場の近くです。
近くにムーミンカフェがあります。
ソウルにもムーミンカフェがあったんですね。
面白そうですが、外から眺めるだけにしておきましょう。
左手には南大門市場。
かなり大きな商店街みたいですね。
お店も多彩です。
ただ今は買いたい物も思いつかないので、寄らずに素通りします。
ソウル路7017もとうとう途切れてしまいました。
ありがとうソウル路7017。
次回もよろしくソウル路7017。
次回の予定は未定です。
右手に南山公園とNソウルタワーとを見ながら、明洞に向かって歩きます。
この辺り大都会ソウルって雰囲気ですね。
明洞到着。
結構歩いてきました。
明洞でお土産を買う予定があったんですね。
手持ちのウォンのかなり少なくなっているので、また例のコンビニで少し両替しておこうかな、なんて迷いもあります。
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