伏見稲荷大社から任天堂、中書島。京都市の旅(2)
伏見稲荷大社前から、北に歩いていきましょう。
かつて伏見稲荷大社のずっと南に大日本帝国陸軍の第十六師団があって、この師団街道が京都市の中心地から南の第十六師団司令部まで繋がる道路だったのですね。
手持ちの地図によれば、地下鉄烏丸線の十条駅の近くに任天堂があるそうです。
漠然とその方向に歩いていればそのうち見えてくるのではないか、と思います。
この交差点から、阪神高速8号線に従いまして、西へ。
十条通り沿いに行きます。
鴨川にかかる橋を渡ります。
そのままずーっと西へ西へ。
十条新町の交差点で南、つまり左手に曲がりました。
細い路地を歩きます。
工場街の先に任天堂の社屋が見えました。
明治時代創業、もともとは花札等の製造販売を行う会社でした。
長い間に各種玩具の製造販売にも携わり、やがてテレビゲーム事業に参入。
それ以来スーパーマリオ、ポケモン等の誰もが知るゲーム作品を生み出してきた、世界的企業です。
任天堂であります。
周辺の庶民的な街並みにそぐわない、未来的なデザインの巨大ビル。
息を呑みました。
周囲を高い塀に囲まれています。
まるで城のようですね。
正門前にまわってみます。
日本国旗の日の丸はためく、任天堂の正門前です。
ここで開発されたゲームが日の丸を背負い、世界中の子供たちと、あと大人たち(私も含む)の元に届くのかと思うと感慨深いものがあります。
見学の案内でも書いてないかな~と期待したのですがね。
入口には「関係者以外立入禁止」の看板が立っているだけです。
守衛室前の出入り口も鉄扉が閉じられ、部外者の来訪を拒む雰囲気でした。
「任天堂株式会社 本社開発棟」と書いてありました。
世界的ゲーム企業の開発棟となると、無数の産業スパイに狙われていてもおかしくありません。
億の金を生み出すゲーム製品のまさにその源泉が、私の目の前のビルの中にあるのです。
私は小学生の頃、任天堂製の携帯ゲーム機「ゲームボーイ」がお気に入りでした。
そのゲームボーイを起動した時に画面に現れるあの社名ロゴと「ぴこーん」という独特の効果音が好きで、興奮したものです。
任天堂製のゲームで育ちました。
しかしそんな独白をしたところで、社屋の中には入れてくれそうにありません。
世の中は世知辛いのです。
名残惜しく、振り返り振り返り。
近場の伏見稲荷大社にあれだけ多くの外国人観光客が集まっているのですからここまで任天堂見物に来る人がいてもよさそうなのですけれど。
私のほかには物好きなカップル風の男女が二組ばかり、立ち止まって社屋を見ているぐらいでした。
名残惜しいです。
開発棟ビルの近くをうろうろしていると、近くに任天堂のロゴがある別のビルを見つけました。
こちらも大きなビルです。
開発棟ビルの南にあるこちらが、どうも本社ビルだったようです。
ここは「立入禁止」とも書いてないのですが…気軽な見学を受け付けている雰囲気でもありません。
確かネットの記事だったと思いますが、昔読んだ話では、任天堂本社は役所のような雰囲気の堅い社風なのだとか。
遊びを売る企業の社風が堅いというのも変な話ですが…。
ゲーム開発の現場はともかく経営に携わる部署では堅実でないと、世界的企業を維持することなどできないのですね。
自分一人で納得しました。
帰りましょう。
夢を見続けるためには、眠ったままでいることが鉄則です。
開発課の人たちが、車内で雑談していてついぺろっと次の作品のアイデアを喋ってしまうこともあるでしょう。
地下鉄烏丸線内には、同業他社と機関投資家の送り込んだ産業スパイが適度に紛れ込んでいるはずです。
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