2019年夏東京八王子旅行二日目(5)。八王子千人同心屋敷記念碑から松姫の信松院まで

甲州街道を東に歩いて「追分町」交差点に来ました。

ここから北側を通る陣馬街道に入ると、

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八王子千人同心屋敷跡記念碑」があります。

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石碑に、八王子千人同心についての詳細な解説板が付いています。

天正10年(1582年)の3月に甲斐(現在の山梨県)を支配していた武田氏が滅亡しました。

そして同年6月には、武田氏を滅ぼした織田信長と信忠の父子も本能寺の変で亡くなります。

織田信長信忠父子死亡の混乱により、甲斐、信濃(長野県)、上野(群馬県)を支配していた織田家配下の武将は撤退、これらの国々に権力の空白地帯が生まれます。

その空白地帯を巡って、徳川家康北条氏政上杉景勝らの間で「天正正午の乱」と呼ばれる争奪戦が行われました。

結果的に徳川家康は、甲斐と信濃とを手に入れます。

その再、甲斐国内で武田旧臣の武士たちを採用した家康は、武蔵(現在の東京都、埼玉県)との国境に彼らを配置して警備にあたらせました。

彼らが、八王子千人同心の前身なのですね。

その後の天正18年(1590年)に、小田原北条氏が豊臣秀吉に攻められて滅びます。

家康は甲斐を含む旧領と引き換えに、今度は北条氏の領地だった関東一円を領土として手に入れました。

今まで甲斐側から武蔵との国境を警備していた武田の旧臣たちに、今度は武蔵側から甲斐との国境に近い西八王子付近を警備させたわけです。

幕末には千人同心は湾岸警備、将軍護衛、日光警備等の任務に就いたそうです。

大政奉還の後は、官軍の下で引き続き国境警備に当たった少数の武士をのぞいては帰農し、千人同心は解体されることになったのだとか。

千人同心の組織自体は、幕府と運命を共にした、と言ってよさそうですね。

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追分町の交差点にはエレベータ完備の歩道橋が立っています。

道が五つに分かれる交差点なので、こういう歩道橋があると便利です。

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追分町から東に来て、「本郷横丁」の交差点です。

甲州街道と、南北に通っている秋川街道が交わります。

この秋川街道、本郷横丁の交差点から南は「松姫通り」とも呼ばれるようです。

ここから南にずっと歩いていくと、武田信玄の娘の松姫がいたお寺に辿り着きます。

今、そのお寺に向かっています。

この交差点で右手、南に折れます。

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本郷横丁からだいたい700メートルほど歩きます。

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お寺が見えました。

金竜山信松院という曹洞宗の寺院です。

武田信玄の四女(もしくは六女?)にあたる松姫が、現在の寺の前身にあたる草庵で暮らしていたそうです。

この松姫という女性も、戦国の姫君の常で、起伏の激しい人生を送った人なのです。

幼少期には織田家の後継者である織田信忠と婚約した仲でしたが、武田家と織田家との仲が決裂して、婚約も破談に。

その織田信忠の手による武田氏滅亡後に、八王子に移り住んでいます。

当時八王子を治めていた小田原北条氏の庇護下に入り、現在の八王子市下恩方にある心源院で出家しました。

その小田原北条氏が今度は豊臣秀吉の侵略で滅亡し、八王子が徳川家康の支配地になった頃、松姫は現在の信松院の場所に移ったそうです。

信松院時代には、徳川家康配下で武田旧臣の大久保長安、またその傘下の八王子千人同心からの支援もあったのだろう…と想像します。

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境内は綺麗に造園され、カフェとブティックまで併設していて、お洒落な空間になっています。

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松姫の銅像が立っています。

戦火に焼ける甲斐を逃れ、八王子まで遠路を来た姿でしょうか。

平時であれば姫君が徒歩で旅するということはありませんから、心身共に過酷な旅路だったはずです。

今でも山梨県の東京都との県境近くに、松姫峠という峠があります。

松姫が甲斐から逃れる際に越えたという伝承から名付けられたそうです。

境内にある、松姫の墓所にお参りしました。

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