2019年9月岩湧山ハイキング。河内長野市の旅
皆さま、岩湧山を御存じでしょうか。
近隣の金剛山ほど著名ではありませんが、南大阪では知る人ぞ知るハイキングスポットであるらしいのです。
山頂にススキが群生している風景が見どころです。
先々月に東京の高尾山、先月に金剛山、とハイキングした私は、ちょっと味をしめたのでした。
天気のいい週末は、手頃な山でハイキングをするに限ります。
近場なのですが、私はこれまでに登ったことがありません。
で、岩湧山に出かけてきました。
岩湧山への行き方ですが、南海電鉄の河内長野駅が最寄り駅になります。
駅前ロータリーにある路線バス乗り場から、滝畑ダム行きのバスに乗りましょう。
運賃は540円、約48分の道のりです。
河内長野駅から金剛山へ行く運賃が480円でしたから、それより高いですね。
そう言いつつ、私は身内に車で現地まで送ってもらい、山の北側の山裾にある岩湧寺方面から岩湧山に入ることにしました。
ついでに岩湧寺にも参拝していきます。
ところで、この岩湧寺の周辺は加賀田という土地で、昔は加賀田荘と呼ばれていました。
ここに鎌倉時代末期、大江時親(おおえときちか)という人物が住んでいたという伝承があります。
大江時親は鎌倉幕府の実力者、大江広元(おおえひろもと)の曾孫です。
彼は越後(新潟県)、安芸(広島県)、そして河内(大阪府東部)に所領を持っていました。
そして彼がこの河内の加賀田荘に在住していた折、同じく現在の河内長野市内にあった観心寺で学問を学んでいた幼い頃の楠木正成(くすのきまさしげ)に、兵法を教えたそうです。
これもあくまで伝承ではあるのですが。
観心寺で暮らしていた少年時代の楠木正成が、加賀田荘の大江時親の所まで、兵法を学びに通ったというのです。
現在では同じ河内長野市内とはいえ、加賀田荘も観心寺もそれぞれ離れた山の中にあり、遠方でした。
それだけ正成が兵法の習得に熱心だった、ということなのですね。
後に千早赤坂の山城に篭り、軍略で鎌倉幕府の軍勢を翻弄した智将楠木正成の知略の源泉を、地元では同時期に在住した(と伝わる)大江時親に求めています。
鎌倉幕府の滅亡後、大江時親は安芸の所領に移り、安芸郡山城を築城します。
その彼の血筋が、後の戦国大名、毛利元就(もうりもとなり)にまで繋がるのですね。
どこまでが史実でどこまでが伝承かはわかりませんが、兵法の巧みな偉人たちが繋がる、面白い話ですよね。
ちなみに現在でも加賀田には大江時親の邸宅と伝わる古民家が残り、彼の末裔の方が居住しているそうです。
大阪府指定の文化財にはなっていますが、一般公開はされていません。
私も今回お屋敷の外観だけでも見たかったのですが、案内等も出ておらず、行き方がわからなかったため、仕方なく岩湧寺に向かいました。
岩湧寺は、本殿と多宝塔の周囲にしゃくなげの花が咲き乱れて、なかなかの雰囲気でした。
修験道の開祖、役行者の創建というので、奈良時代に出来たお寺ですな。
本堂は江戸時代初期の建築だそうです。
多宝塔の方は天文年間(西暦1532年から1555年)の建築だそうで、室町時代の作です。
お参りして、岩湧寺の裏手から岩湧山の登山道に入りました。
石積みの、なかなか渋い登山道です。
山の隙間から、富田林市方面の風景が見えました。
なぜ富田林市とわかったかというと、金剛山ハイキングの時と同様、小さくPLの塔が見えたからです。
宗教団体の施設ですが、いい目印になってますね。
樹木の間から、ちらほらと他の登山客の姿も見えました。
岩湧寺側の登山口からは、一時間足らずで山頂まで来ることができました。
「ここから先の茅(カヤ)場は滝畑自治会の所有」と書いてありますね。
山頂にはススキ(茅)が群生していて、その茅は昔、民家の屋根を吹くのに使われたのです。
滝畑地区というのは現在滝畑ダムのある周辺の集落です。
以前、その滝畑地区にある「ふるさと文化財の森センター」内を見学したことがあります。
その敷地内に、展示用に古民家が保存されているのを見ました。
その古民家は、岩湧山の茅を使って定期的に屋根を新しく吹くのだと。
そういう風に解説されていました。
山頂です。
確かにススキが群生していました。
ススキの向こうに大阪平野が広がっています。
ススキの背が高いのでこちらも背伸びしないといけませんが、ススキの背さえ見越せば見通しはいいです。
おそらく夜間に星空を見るために一泊したのでしょう。
テントを張っている人たちがいました。
この辺り、空気は澄んでいるから、夜空が綺麗なんでしょうね。
大阪湾まで見渡せます。
ここに来るのは初めてで、期待した以上の景色でした。
満足です。
金剛山に匹敵する景色の良さですね。
ここでお昼にします。
麻婆カレーメシ。
お湯を沸かす装備はありませんが、魔法瓶の水筒にお湯を入れて持ってきました。
ここにお湯を入れて、混ぜ混ぜ。
…まあ出来上がり見た目はそこまで美味しそうに見えないですが、辛くて美味しかったです。
食べた後のゴミは袋に入れて、ちゃんと持ち帰りました。
山頂にゴミを捨てるところはありません。
昔は行楽客向けのリフトか何かあったのか、発着場の跡がありました。
山頂から降りてきました。
この山の盛り上がり、若干ですが奈良の若草山を思い出させるところがありますね。
下山の際、登山道のすぐ脇に鉄塔が立っていました。
下をくぐれるようになっていました。
『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部に、鉄塔の中に閉じこもる男の話がありましたよね。
鉄塔って送電線が通っているので危ないのでは?
感電とかするのでは?
という危惧があったので、下をくぐりながらも鉄塔自体には触れないように気を付けていました。
実際のところはどうかわかりませんが。
滝畑ダム側の登山口に向かって下山しているのですが、こちら側の登山道の方が道が険しく、距離も長いように感じました。
駅からの交通の便がいいのは滝畑ダム側ですが、岩湧寺側登山口からのルートの方が昇り降りは容易だと思います。
バニラアイスをチョコレートコーティングした上からクランチまぶしてあって。
登山の後に食べると、美味しさも三割増しでした。
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