『手間のかかる長旅(010) 土手下でうたた寝すると夢になる』

芝生はいささか、ちくちくしている。 それが土手の緩やかな斜面に寝転がってまず時子(ときこ)が思ったことだった。 芝生の先が衣服ごしに背中を刺激するのだ。 スカートの先から伸びた両のふくらはぎにも芝生はちくちくといたずらをする。 ただ、不愉快になるほどの強い刺激ではないのが幸いだった。 横になっていれば、…