『手間のかかる長旅(014) 警官に感情的になる時子』

警官立会いの場で、時子(ときこ)は眠り続ける町子(まちこ)を揺さぶった。 「町子さん」 ゆさゆさ。 「町子さんたら」 ゆさゆさ。 起きない。 町子は、揺さぶられながら、今度はかすかに眉間にしわを寄せただけだった。 途方にくれて、時子は警官の方をすがるように見た。 「起きないんです」 警官は、冷徹な目で見返し…