『延々とついてくる奇妙な男』

夜間の帰路である。 数メートルの間隔を置いてついてくる気配が自分の背後にある。 菊江(きくえ)は後ろを振り返った。 「貴殿に興味はござらぬ」 相手の姿が目に入るか入らないかの瞬間に大きな罵声を浴びた。 慌てて前に向き直った。 相手の姿は確認できなかった。 しかし男の声なのは間違いない。 気持ちが悪い。 その…