『戦乱の世、長芋を脅し取る』

米びつには米一粒すらない。 「もう食べるものがないよ」 米びつの中をのぞきながら、おっかさんがそうおっしゃる。 長引く戦乱で、稲の手入れに人手は割けず、かろうじて実った稲穂には火がつけられた。 でもこうして家が残り、母子で無事生きていられるだけでも幸運だ。 「仕方ない、おっかさん。あれらを食べましょう」…