『瞬殺猿姫(1) 猿姫うつけ殺し』

領主が本拠を北方の清洲の城に移してからというもの、那古野の城下は寂れる一方だ。 その那古野の、長屋が並ぶ裏路地である。 小柄な若い女が、まじめくさった顔をして歩いていく。 顔が小さくて額の広い彼女が眉をひそめている様は、どこか思慮深い猿を連想させた。 服装もおかしかった。 髪は短く、首のあたりで切りつめ…