『濡れ衣で絡まれる』

繁華街で、通りがかりの男とすれ違いざま、義雄(よしお)は襟首をつかまれた。 「やっぱりお前じゃないか、この野郎」 人の喉元を締め上げながら、目を剥いてにらみつけてくる。 年齢は不明である。 頭をつるつるに剃り上げていて、若いのだかそれなりの年だか外見からわからないのだ。 ただ、鬼気迫る表情の男だった。 …