『瞬殺猿姫(5) 白子港で、戸惑う猿姫』

船尾を岸壁に繋いだ後も、船はぐらぐらと揺れている。 「三郎殿、着いたぞ」 船板に腰掛けたまま、すやすやと寝入っている織田三郎信長(おださぶろうのぶなが)。 猿姫(さるひめ)は彼の体の上に屈みこんで、揺さぶった。 「着いたのでござるか」 三郎は、半分眠ったままの顔で猿姫を見上げ、問いかける。 「着いた。白…