『瞬殺猿姫(13) 神戸下総守との交渉に当たる、三郎と猿姫』

「下総守殿っ」 織田三郎信長(おださぶろうのぶなが)は、上座に向かって前のめりになった。 「まずは見てくだされ。この羽織を」 下品でいやらしい絵柄が描かれた己の羽織を、指先でつまんで強調する。 「拙者、着の身着のままで、逃げてくる他なかったのでござる」 相手は、上座の茵(しとね)に座する、神戸城の城主。…