『瞬殺猿姫(19) 猿姫と離れ、茶席の三郎』

織田三郎信長(おださぶろうのぶなが)は、座っている。 再び、神戸下総守利盛(かんべしもうさのかみとしもり)と対面しているのだ。 三方を土壁に囲まれた、狭くて暗い茶室である。 明かりは、三郎の背面にある障子戸から薄く入ってくるばかりだ。 神戸下総守は風炉に向かい、主人として茶を点てた。 尾張国の大名家に育…