『瞬殺猿姫(21) 眠り薬を盛られる猿姫』

忍びの女、一子(かずこ)とその連れの男。 二人で台所の開いた戸口のへりから顔をのぞかせ、中をのぞきこんでいる。 台所では、城の下女たちが昼食の膳を整えている。 華美なものではないが、客人に振舞うこともあってか、それなりに整った食事である。 「美味しそうやな」 のぞきながら、一子は情けない声を漏らした。 …