『手間のかかる長旅(098) 本堂で過ごす』

絨毯の敷かれた床の上に、時子(ときこ)とアリスは座り込んだ。 目の前には本尊の威容がある。 二人で、この本尊を眺めている。 如意輪寺の本堂の中は、天井にランプ照明が灯っているばかりで薄暗く、静かだった。 外では境内を吹く風の音がしている。 しばらく、二人は本尊を眺めながら外の風の音を聞いていた。 時子は…