『手間のかかる長旅(017) 川のせせらぎのしわざ』

薄目を開いたまま、町子(まちこ)は体を横たえて、時子(ときこ)のしたいようにさせている。 しばらくして時子は町子を揺さぶるのをやめた。 「どうしたの」 町子は、穏やかに声をかけてくる。 「大変だったんだよ」 ようやくこれだけ、絞り出すように時子は言えた。 町子が眠っている間に起こったことを、どこから説明…