『手間のかかる長旅(038) 約束を前に仲のいい、時子と町子』

モンブランの栗をフォーク先に突き刺したかと思ったら、素早く口の中に放り込む。 町子(まちこ)は目を閉じて、栗を舌の上で転がしている様子。 美味しそうだ、と時子(ときこ)は思った。 うらやましかった。 だが今日は出費を抑えたいので、時子はホットコーヒーを注文しただけだ。 栗を相手にご満悦の町子を横目で見な…