『手間のかかる長旅(042) 世の中には意外なことが多い』

時子(ときこ)が優児(ゆうじ)の顔に視線を戻すと、彼は時子に目を合わせて困ったような笑みを顔に浮かべている。 恥ずかしくなって、時子は手を優児の手の上からのけた。 深い意味はなかった。 ただ、状況に飲まれたのだ。 優児にうがった見方をされたらどうしよう、と時子は心配になった。 だが、彼はそれどころではな…