『手間のかかる長旅(099) お寺泊の余地』

時子(ときこ)は座ったまま不安な面持ちで、横に座るアリスを眺めている。 アリスは上の空で、目の前の本尊に視線を向けていた。 彼女は少し前に、この本堂に泊まりたいと漏らした。 時子には寝耳に水の話だ。 面接の帰りに、時子はちょっとした寄り道のつもりでこの寺に来たのである。 だいたい着慣れないリクルートスー…