『輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来』横山順一

宇宙のことはいつも気になるけれど、天文学の難しい話はよくわからない。

そんなわけで、天文学関連の本は敬遠しがちだったのですが。

面白そうなタイトルの本があったので読みました。

輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来 (ブルーバックス)

輪廻する宇宙 ダークエネルギーに満ちた宇宙の将来』、横山順一氏の著作です。

冒頭から不思議な雰囲気を漂わせている本です。

仏教の「輪廻」の概念についての説明の後、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世が即位した1940年前後の経緯が描写されます。

この本によると、歴代ダライ・ラマは一度この世を去った後、新たな体に転生して再び生まれてくると信じられているそうです。

そこで教団の人々はダライ・ラマの新たな体、つまり転生者を探すわけなのです。

どこに次のダライ・ラマが生まれるかを様々な予兆から推測し、複数の候補者の中から試験によってダライ・ラマ本人を選別します。

古い肉体が滅びても何度でも生まれ変わる、ダライ・ラマの輪廻転生。

ダライ・ラマを例えに挙げた後、同じく宇宙もまた輪廻転生を繰り返していることを、著者はこの本で語ります。

 

自然科学分野のことは、私はほぼ未知の状態だったのですが。

宇宙を扱う天文学にも、個々人の主観的な「解釈」の余地があるのかな?

と思いました。

つまり天文学において、研究者は宇宙をできる限りで観測し、観測できた現象を独自に解釈する。

その解釈から宇宙のあり方について仮説を導き出す。

仮説が正しいことを裏付ける理論を構築する。

その理論を応用して、宇宙の観測できなかった部分のあり方までを推測する…。

個々の研究者が行う主観的な解釈が、未知の部分を解明するうえで不可欠なのですね。

本書でも、著者による興味深い宇宙の輪廻転生の姿が提示されています。

いかに個人が現象を解釈するかという創造性が活かされる世界なのだな、と思い至りました。

 

世の中に科学分野での「天才」と呼ばれる偉人たちが存在するのは知っていましたが、私はなぜ彼らが天才なのか考えたことがなかったのです。

おそらく、彼らの創造性のためなのですね。

本書を読んで、天文学だけでなく自然科学の他の分野についても、興味が湧いてきました。

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