2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『旧国道沿いでいただく稀な昼食』

おなかが減って倒れそうになりながら、長太(ちょうた)は歩いている。 旧国道沿いの歩道を歩いている。 午前中からの用事が長引き、自由になったのは午後2時半をまわった頃だった。 それから30分ばかりも歩き続けている。 食事ができる店がない。 旧国道沿…

『ファミレスでもがく、辞書は重くて巨大でわからない』

真理(まり)は放課後、馴染みのファミリーレストランのテーブル席にいて、爪を噛んでいる。 テーブルの上には来店時に注文したドリンクバー用のグラスと、勉強道具一式が乗っている。 勉強道具の中に、紙製の巨大な英語辞書の姿もある。 真理は高校生である…

語学を娯楽にする。しんどくないように…

来月に英語のTOEICテスト受験する予定になってまして、しんどいんですよね。 こんにちは、金比羅系です。 皆様、TOEICテストご存知ですか。 ざっくり言うと、受験者の英語の習熟度を測るスコア式のテストです。 今の私の目標は、このTOEICテストでスコア900…

『割り切れない罵声』

考えごとをしながら歩いていると、ろくなことにならない。 「あああっ」 考えごとをしながら歩いていた菊江(きくえ)は、目前に迫った電柱にぶつかりそうになった。 とっさにかわしたが、片手に持っている中身のふくれたビニール袋が、電柱にぶつかった。 …

韓国釜山、海雲台をうろついてうさぎを眺める旅

皆様こんにちは。 金比羅系です。 私、韓国旅行に行きたいんですけれど、当分目途が立ちそうにないんですね。 それなので、しょっちゅう以前の韓国旅行のことを思い出しては懐かしがっているわけであります。 中でも釜山広域市内にある有名な観光地、海雲台…

『手間のかかる長旅(056) 甘すぎるお茶請けクッキー』

時子(ときこ)とヨンミは肩を並べて、自室の真ん中にあぐらをかいて座っている。 二人して、マグカップで入れたばかりの紅茶を飲んでいた。 目の前に、茶器類が載ったトレーを置いている。 トレーの上には、お茶請けのお菓子の紙箱もあった。 ドラッグスト…

ゾンビ小説三部作。ゾンビになる青年の話です。

こんにちは、金比羅系です。 今まで人知れず、というわけでもないですが。 ゾンビを扱った短編小説を書いてたんですね。 それらの作品が三本できて、話も一段落つきました。 せっかくなので、ここにまとめてリンク貼っておきますね。 『楽しいゾンビの人の街…

『若者は運動公園でゾンビと化した』

宅配ピザの配達員として生計を立てている、隼人(はやと)という青年がここにいる。 彼の裏の顔は、ゾンビである。 ゾンビというのは、生ける屍のことである。 ゾンビの起源には諸説あるが、一般的には外国映画のいちジャンルとして、その存在が広まった感が…

『手間のかかる長旅(055) 思い余って二人で部屋に入る』

ヨンミは切実な目でこちらを見ている。 時子(ときこ)は戸惑った。 ヨンミの足元に落ちているボストンバッグから察するに、おそらく泊めて欲しいと言っているのだ。 どうしよう、と思った。 なにしろ意思疎通ができない。 「泊めて欲しいの?」 「ね」 ヨン…

『手間のかかる長旅(054) お金が欲しいままに自宅に戻る』

食事の後の、つかの間の雑談を終えた。 店を出た時子(ときこ)たち三人は、挨拶を交わしてその場で別れた。 それぞれ、午後からの予定に向かうのだ。 町子はアルバイト先、アリスは広告向けの撮影でスタジオに行くという話だった。 時子には、午後の予定は…

『手間のかかる長旅(053) お金の話はつらい時子』

「ごちそうさま」 食事を終えたアリスが、空になった食器類を前に手を合わせている。 こういう作法も誰か教えた人がいるのに違いない。 時子(ときこ)はぼんやりとアリスを見ている。 カップに残っていたコーヒーを口にした。 町子(まちこ)もアリスの隣で…

小説群の目次ページを、今度つくります。今度。

こんにちは、金比羅系です。 お久しぶりです。 いつも読んでくださっている皆様はもうご存知だと思いますが、私、小説書いてるんですね。 このブログ上で。 連載小説と短編小説とを、その時々の気分で書いては、更新してるんです。 もともとここは旅日記をお…

『手間のかかる長旅(052) 恐山は日本の聖地』

時子(ときこ)も町子(まちこ)も、戸惑ってアリスを見た。 「恐山って。あの石を積んだ河原があって、霧に包まれてて、イタコさんがいるところでしょ」 「まったくその通りだにゃ」 アリスはくぐもった声で返事しながら見返している。 バターライスをスプ…

『手間のかかる長旅(051) 日本の聖地を推す友』

アリスは料理をおいしそうに食べている。 適度な速度である。 時子(ときこ)も町子(まちこ)も、彼女の食事に付き合って長々待たされずには済みそうだ。 それぞれ自分のケーキを食べ終えて落ち着いたので、二人はアリスが食事する様を眺めている。 アリス…

『最安値のガラケーを罵る』

本当に使いにくいガラケーだな、と思いながら自分の手の中の携帯電話をにらんだ。 アパートの自室で、義雄(よしお)は畳の上にあぐらをかいている。 携帯電話には必要最低限の機能さえあればいい、というのが義雄の考えなのだ。 そう思い、携帯電話店で最安…