上海旅行二日目(3)。山陰路から四川北路。日本人居住者の痕跡と空気
魯迅公園を満喫したので、出てきました。
公園の近くを通る山陰路という道沿いが、かつて日本人居住区だったとか。
その名残りを味わいに、散策してみることにしました。
魯迅の旧居跡も残っているそうです。
街路樹も植えられ、緑が多くて素敵な山陰路。
歩道がもう少し広ければ散策もよりよくなるのですがね。
自動車は時々見かけるぐらいなのですが、電動バイクと黄色のレンタル自転車がよくすれすれのところを通るので、ぼんやり歩いてもいられません。
まったりできそうな道でも心の底からまったりはできない、そんな上海。
洋館の庭先を使って果物を売るお店があります。
甘い香りがふわふわと。
南国フルーツ好きの私は我慢できなくなりました。
今年初の、ドラゴンフルーツ(火龙果)。
上海でもドラゴンフルーツが手に入るんですね。
値段は覚えていませんが、10元(約172円)しなかったと思います。
後々いただきましたが、まだ熟していないのか、甘さはかなり控えめでした。
これは龍眼(龙眼)ですな。
中国南部から、東南アジアで取れるんだそうです。
同じく南国フルーツの、ライチの親戚ですね。
1斤10元(500グラムが約172円)と書いてあったので、思わず買いました。
というのも、去年台湾旅行をしたときに、路上の果物店で生ライチの小枝についたひと房が2000円ぐらいで売られていまして。
私はライチと龍眼とを混同していたので、「台湾と比べて物凄く安い!」と飛びついてしまったのです。
お店の人に龍眼の山を指差すと、スーパーの袋にめいっぱい入れてくれようとするので、ジェスチャーで一握りほどに減らしてもらいました。
量が少なくても10元払ってよかったのですが、はかりできっちり重さを計って清算してくれました。
こちらも後々食べました。
ライチによく似た白いぷりぷりの実が特徴なのですね。
独特の風味と甘さがあって、あまり一度に量を食べるものではないですね。
ただ疲労回復等の効能があって、乾燥させて漢方薬としても用いられるのだそうです。
一度にたくさん食べると鼻血が出るという俗説もあるそうで。
しかしその俗説を知らず、いつまでも果物の袋を持って移動するのが嫌な私は、一度に全部食べてしまいました。
甘さに飽きてくると、独特の風味もあり、さすがに20個ばかりもたいらげるのは苦しかったです。
このときに至ってもまだ龍眼とライチとを混同しているので、「昔食べた冷凍ライチはもっと美味しかった…台湾でこれに2000円払わなくてよかった」などと思ったのでした。
龍眼だって、甘くて滋養もあるので、おやつとして一度に2、3粒ずつ食べるなら悪くないのですよ。
果物類を買った後、山陰路を歩き続けて、魯迅の旧居跡まで来ました。
門の中に、住宅が軒を並べているのです。
界隈の日本人居住者に混じって、魯迅は生活していたのですね。
三階建ての横長の共同住宅が、縦割りで入居者に割り当てられているのですね。
目の前の住宅9号の一階から三階が魯迅の故居でありました。
隣の10号でチケットを8元で買うと、ガイドの案内を伴って内部が見学できるのだそうです。
内部に魯迅夫人が寄贈した家具等が置かれて、魯迅生活時の様子が再現されています。
開館は午前9時からで、まだ30分近く間がありました。
魯迅紀念館の方も入らずに来たし、こちらは待ってみようかと思ったのですが、実は魯迅の生活の場にそこまで関心は無かったので、またスルーすることにしました。
旅先では街歩きが楽しいので、貴重な時間を費やして博物館等の展示類をじっくり見るのは時間がもったいないと感じるように最近なってきています。
日程に余裕がある旅ならば、博物館に図書館等も、たっぷり時間を使って現地学習したいと思うのですがね。
建物の外観を見ると、わりと満足してしまいます。
山陰路を南下して、四川北路のあたりに出ました。
新華書店と中国工商銀行が入った長屋状の建物がありますが、もとはここに内山書店があったのだそうです。
かつての内山書店では日本の書籍が手に入ったといいますから、近辺の日本人居住者からは重宝されたのでしょう。
また魯迅や郭沫若のように、日本留学経験のある上海の文化人たちも集ったのですね。
山陰路沿道も魯迅公園廻りも、今は日本人居住者の痕跡を探すのは難しいですけれど、かつては日本の飛び地のような雰囲気のある土地柄だったのかもしれません。
四川北路周辺は街並はかなり素敵なのですが、自動車が多いこともあってか、沿道の空気が悪いです。
歩きながら路上に唾液を吐く中高年男性の姿が時折、目につきました。
有名な中国人の悪習…と目されていますが、ただ、この路上を歩いていると、唾液を吐く人の気持ちがわかるところもあります。
喉がおかしくなって、何というのでしょう、イガイガが溜まってくるのですね。
もちろん私は唾液を吐くのは抵抗がありますので、イガイガを我慢しながら日本から持参のマスクを装着しました。
以後、上海では自動車量の多い車道脇に出る度に、マスクをつける習慣がつきました。
唾液を吐く人自体は、上海全体ではほとんど見かけることはありませんでした。
特に自動車の通行量が多い場所に限っては顕著です。
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