『地蔵菩薩 地獄を救う路傍のほとけ』下泉全暁
私は特別、信仰心が篤いわけではないんですけれど。
古くからある街道沿いなんかを歩いていると、お地蔵さんの祠がありますよね。
そんなお地蔵さんに出くわしたときは、拝みたくなります。
私たち旅人の安全を見守ってもらっているような気になるのですね。
『地蔵菩薩 地獄を救う路傍のほとけ』下泉全暁氏の著作です。
お地蔵さん、地蔵菩薩の由来から信仰の歴史、地蔵菩薩をご本尊とする各地のお寺など、諸々について記述してあります。
本書で特徴的なのは、中盤からかなりのページを割いて絵巻物の画像付きで記述されている、地獄の姿です。
地蔵菩薩というのは現世で我々人間の苦しみを身代わりになって引き受けてくれる一方、地獄に落ちないように導いてくれる仏様でもあります。
そして地獄に落ちた人間の身代わりにもなろうとしてくれるのですね。
仏教の考えでは、この世で悪い生き方をしなければ、地獄に行かずに済みます。
地蔵菩薩を信仰することで、人々は現世でよりよく生きると共に、地獄に行かずに済むよう祈ったのでしょう。
また死後、運悪く地獄に落ちただろう…と考えられる身近な人たちの罪が軽くなるよう、この世に残された肉親たちはお地蔵さんを頼りにしたのだろうと思われます。
信仰のかたちはかつてと今では変わっていますが、お地蔵さんを拝むという行いそのものが、私たちの暮らしにいい影響を与えるかも。
そんなことを私は常々思っています。
地獄があるかどうか、そこへ行くか行かないかは別としてですね。
習慣的に拝んでいれば、お地蔵さんを裏切るような悪い行いを慎もうという気になるんじゃないかと。
そういうふうに思うわけです。
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