2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『手間のかかる長旅(014) 警官に感情的になる時子』

警官立会いの場で、時子(ときこ)は眠り続ける町子(まちこ)を揺さぶった。 「町子さん」 ゆさゆさ。 「町子さんたら」 ゆさゆさ。 起きない。 町子は、揺さぶられながら、今度はかすかに眉間にしわを寄せただけだった。 途方にくれて、時子は警官の方をす…

お手軽に韓国料理、ケランチム

今すぐ韓国行きたいぞ! 皆さまこんばんは。 にわか韓国マニア、金比羅系です。 さて今夜は、夕食に「ケランチム」をつくりましたよ。 韓国の、日本で言うところの茶碗蒸しに近い卵料理です。 鍋で温めただし汁に溶き卵を流しいれて混ぜ、固まるまで低温で熱…

『手間のかかる長旅(013) 警官の疑惑の視線にさらされる』

こういう人は始末に終えない。 芝生の上で眠り続ける町子(まちこ)の寝顔を見ていると、時子(ときこ)は憎む気持ちにはなれないのだった。 さらに何度か友人の体を揺さぶってみたが、曖昧に小さな声を出すばかりでやはり起きない。 あきらめて、時子はその…

韓国慶州で古代旅(4)!

皆様こんばんは、金比羅系です。 今回もご案内していきます、韓国慶州の旅。 いよいよ終盤にさしかかって参りました。 前回ご案内した皇龍寺跡地の近く、周囲にひと気のない通路の真ん中に突然可愛らしいキャラクター看板が…。 右はたぶん善徳女王…だと思う…

『手間のかかる長旅(012) 言を違える友と野良犬』

背中で引きずられる感覚と、自分の悲鳴。 時子(ときこ)は全身でもがいた。 もがきながら目を覚ました。 体が下にずるずると引きずられていく。 「やっ」 視界のいまだはっきりしない目を足元に向けた。 足元に何かいる。 犬だ。 野良犬が時子の下手に体を…

韓国慶州で古代旅(3)!

皆様こんばんは。 金比羅系です。 韓国慶州の古代旅、ご紹介するのは今回で三回目です。 なかなか終わりませんね~。 慶州には面白い場所がたくさんありまして、私もその全部を見てきたわけではないのですけれども、それでも結構いろいろあります。 例えば前…

An excerpt from 『Farewell, My Lovely』

私の好きな作家 Raymond Chandler が書いた名作 『Farewell, My Lovely』 にこんな一節があります。 "She drove me all the way home, tight-lipped, angry. She drove like a fury. When I got out in front of my apartment house she said good-night in …

『手間のかかる長旅(011) 果てなく続く中洲の上で』

川の流れに揉まれ磨かれて、小さくなった玉のような石が集まって、川原はできているのだ。 時子(ときこ)はその上を歩いている。 靴裏にあたるそれらの石の感触は、硬いのか柔らかいのかはっきりしない。 歩こうとすると歩ける、ということだけは確かだ。 …

韓国慶州で古代旅(2)!

皆様こんばんは、金比羅系です。 前回、武烈王陵とキム・ユシン将軍墓所をご紹介しました。 今回も引き続き、韓国慶州の旅の写真をお見せしていきますね。 さて郊外で武烈王陵を見た後、市の中心部に戻ってきました。 市街地の中に、「大陵苑(テヌンウォン…

『手間のかかる長旅(010) 土手下でうたた寝すると夢になる』

芝生はいささか、ちくちくしている。 それが土手の緩やかな斜面に寝転がってまず時子(ときこ)が思ったことだった。 芝生の先が衣服ごしに背中を刺激するのだ。 スカートの先から伸びた両のふくらはぎにも芝生はちくちくといたずらをする。 ただ、不愉快に…

韓国慶州で古代旅(1)!

私、去年の年末に、韓国に旅行に行ったんですよ。 こんにちは、金比羅系です。 空路で韓国の海の入口、釜山に上陸しまして。 そこを皮切りに韓国南東部中心にあちらこちら巡ってきたんです。 日韓のLCC(ローコストキャリア:安価に利用できる航空路線)の会…

『手間のかかる長旅(009) 芝生の上で眠りたい誘惑』

さっきから時子(ときこ)は、眠くて仕方ないのだ。 川岸で水面を舐める野良犬を見逃し、一緒に歩いている町子(まちこ)の鼻歌を聞いている間に眠気が増してきていた。 彼女は昼食をとる前に、公園で半端にうたた寝をしている。 それがここへ来て、満腹なの…