『Dave Barry Does Japan』Dave Barry
日本は外国人からどう見られているのか?
気にする人は多いみたいです。
ただどう見られているのかを知ったところで、その結果を活かすも殺すも日本人次第ですよね。
コラムニスト、Dave Barryによる日本滞在記、『Dave Barry Does Japan』です。
取材として家族と共に3週間、日本に滞在して見聞きしたことを若干辛口のユーモアと共に記しています。
日本関連の洋書としては、結構有名な本のようです。
文章のところどころでジョークを仕掛けてくるスタイルで、笑いを誘います。
辛口ですし、また笑いの対象にされているのが日本と日本人の諸々なので、日本人が読むと微妙な気持ちになりそうなところですが、そうはなりません。
どれだけ辛口ではあっても、笑いの対象を貶めるようなことは言っていないのです。
日本と著者の母国アメリカとを比較して「こういうところはうちが勝ってる!」みたいな記述も多少はあるのですが、日本と母国のどちらが優れているか、などという結論も出しません。
日本の奇妙な実態を笑いのネタにしながらも、尊重しているのですね。
電車の中で成人向けポルノ漫画を堂々と読むビジネスマン、広島平和記念式典の諸々についてなど、日本人として耳が痛かったり感情的になってしまう話題についても言及されているのです。
式典の日に広島を訪ねた章ではアメリカ人である著者も若干感情的になったものと見えて、ふざけまくっている他の章のスタイルからすると異質な文章になっています。
ではあっても、彼が日本という国に対して礼を失しないように努めているのが読み取れました。
ふざけまくった文章で人を笑わせるスタイルながら、物事をよく観察し、本質をとらえようとする著者の姿勢です。
彼に対して、尊敬の念が湧きます。
おそらく日本滞在中に不愉快な思いもしたと思うのですが、それを愚痴るようなこともありません。
日本の優れたところは賞賛しながら、奇妙だと思ったところは下品にならない程度に辛口な笑いを持って描写する。
優れた書き手だと思いました。
日本が外国人からどう見られているかの参考になります。
また私たちが海外の様々な国に、いかに礼をもってなおかつ面白がりながら接するか、その手本にもなります。
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