2019年春韓国大邱旅行二日目(5)。全州の城門、풍남문(豊南門)。慶基殿まで

家族会館で美味しい全州ピビンバの夕食を食べ終えたので、全州韓屋マウルに向かいます。

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この道を南にまっすぐ行くと、풍남문(豊南門)に行き当たります。

遠くに見えていますね。

かつて城壁都市だった全州の街の城門で、唯一現存しているのが豊南門だということです。

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道の右側のフェンスの向こうでは、朝鮮時代の建築物を再現している最中でした。

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柱がセメント製みたいに見えなくもないですが…朝鮮時代にああいう柱あったのかな?

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警察署前の韓国警察マスコットも朝鮮時代の警察?の衣装をまとっています。f:id:kompirakei:20190504184945j:plain

警察署ビルの壁面に、かつての全州城壁都市の風景が描かれてありました。

ビルひとつまるまる使っての試みです。

光都市化に向けて地元警察も積極的…という全州市の意気込みと見ていいと思います。

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いよいよ豊南門が近づいてきました。

歩いている観光客の人たちも楽しそうです。

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妙な乗り物ですな。

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みんなでペダルを漕いで動力を生み出すバスらしいですよ。

横に「체험비(体験費)3000원」って書いてますね。

必死に自転車漕いで300円取られるのか!と思いました。

これは実際に走っているところを見てみたいですな。

案外、電動自転車みたいに楽に漕げるようになっているのかもしれません。

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豊南門の前に来ましたよ。

円形の、ロータリーの真ん中に門がありますよ。

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若い観光客の方たちが記念写真を撮る場所です。

ここには載せませんが、私も記念にセルフィーを撮りました。

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ロータリーの周囲の歩道沿いにコンビニ、土産物店、飲食店が並んでいます。

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台湾でも同じような城門を見たことがあって、韓国と台湾って城門と城壁都市の文化が同じですね。

たぶん中国でもそうですよね。

日本の街ではあんまりこういう城門って残ってないですよね。

城門、城壁ではなくお堀なら、日本の城下町で見られますけれども。

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전주남부시장(全州南部市場)の狭い入口がのぞいています。

もうそろそろ夜なので、暗くなってきております。

入ってみましょう。

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韓国に来るとこういう狭いアーケード商店街に入るのが楽しみです。

どこの街に来ても、必ずあるんですよね。

ここを通っていくと全州韓屋マウルの中心に出られるようですよ。

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アーケード商店街の中に夜市的な出店が出てて、活気あります。

人多いですね。

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なぜかキリスト教の聖堂がありますが、このあたりから全州韓屋マウルに入ってきます。

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この辺りから韓服を着ている女性の姿がちらほらと出てきました。

どうも伝統衣装のレンタルをしているみたいです。

ここは朝鮮王朝の初代王、李成桂(イ・ソンゲ)の肖像を飾る慶基殿の横ですね。

慶基殿内部の拝観時間は午後6時までなのですが、午後7時をまわってもこの人だかり。

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하마비(下馬碑)らしいですよ。

慶基殿は尊い人の肖像が飾られている場所なので、前を通るなら馬から下りなさい!ということなんですね。

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慶基殿を拝観して中で李成桂の肖像を見学したかったのですがね。

まあ全州に来たのが遅かったので。

巡り合わせというものはあります。

一度に何もかも得ることはできませんね。

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もうすぐ発売。『あつまれ どうぶつの森』

3月20日の金曜日に発売予定のNintendo Switch用ゲーム。

『あつまれ どうぶつの森』。

このゲームについては、すでに皆様もご存知ですね。

(ご存知ない方には下のYouTube動画閲覧をお勧めします。)

動画を見ていただいた今、私から改めて内容を説明することもないでしょう。

来週末の発売日に先駆け、ダウンロード版のカードを確保しました。

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税込み6500円でした。

高くつきましたね。

前作の3DS版『とびだせ どうぶつの森』をかなり遊びましたので。

新作も買わずにはいられなかったのです。

ちなみに前作は、パッケージ版を購入しました。

ところが毎日少しずつ遊ぶ「どうぶつの森」の性質上、他のゲームを遊ぶ度に何度もカートリッジを取り替えることになり、わりと不便だったのです。

そういう経緯で、パッケージ版の利点もありますが、私は本作ではダウンロード版を選びました。

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オンラインサービスの「Nintendo Switch Online」に加入すれば、他のプレイヤーとの通信プレイも可能だということです。

楽しみですね。

各種ヨーロッパ言語に加え、中国語、韓国語でのプレイにも対応している本作。

前作同様、海外のプレイヤーと交流できることを私は期待しています。

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ダウンロードカードには「Dodo Airlines」と「たぬき開発」のロゴが入っていますね。

航空券みたいで、気分が盛り上がります。

発売日まではダウンロードができないので、待ち遠しい思いです。

『あつまれ どうぶつの森』、皆様も一緒に、島で遊びましょう。

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2019年春韓国大邱旅行二日目(4)。全州歩き。가족회관(カヂョッフェガン、家族会館)の全州ピビンバ

全州バスターミナル界隈から、南の전주 한옥마을(全州韓屋マウル)に向かっています。

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全州にも自転車店があります。

歩道上に自転車レーンもあるし…大邱の街だけじゃなかったんですね。

ママチャリ的な廉価な自転車を売りさばくのはやめて欲しい…と思うんですが、店舗右の広告にカゴつき自転車が「척한가갹(やさしい価格)w690000(約69000円)」と書いてあるので、日本みたいに歩道を廉価自転車が跋扈する事態は避けられそうですね。

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スマホとか詳しくないんですけれど、こういう二画面のスマホ?って日本にもあるんですかね。

あったら嬉しいけれど、私はスマホであんまり動画見たりしないんであっても使い道が無いですがな。

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금암교(グマン橋)だそうです。 

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韓国の街の川沿いは景観が整備されていることが多いですね。

観光客として来ているので、嬉しい限りです。

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全北道民日報の社屋ですね。

新聞社ですね。

道民って言うと北海道にいるみたいな気持ちですがここは全州です。

全州市は行政区分でいうところの全羅北道の中心都市なので、全北道民日報の社屋もあるのでしょう。

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情報量の多い交差点です。

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何かむやみに若い女性とカップルの姿が多い界隈に入ってきました。

細い通りの沿道にお洒落なカフェ、飲食店が立ち並んでいるのです。

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屋上にバスのある海鮮料理店です。

センスのいい外観です。

人気店なのか周囲の路上に自動車が多く停めてありますね。

駐車場スペースが限られているのです。

細い路地に集客力のあるハイセンスな飲食店が集まって、もう交通状況はいっぱいいっぱいです。

お店の外観を見ながら散策するのが楽しい反面、食事に来た人たちの車がひっきりなしにすぐそばを走るので、緊張します。

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「蘇州街」の門がありました。

蘇州って中国の上海の西にある都市ですね。

蘇州からの移民が多く住んでいるのでしょうか。

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蘇州街には入らずに、大通り沿いに歩いて全州韓屋マウルまで行きましょう。

もうすぐそこです。

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道路の向こうにある建物は、「客舎」と言われる朝鮮時代の儀礼に使われた建物だということです。

惜しくも10分程前に閉館しています。

外から眺めるだけにしましょう。

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全州韓屋マウルに入る前に、この辺りで夕食にします。

全州と言えば「食の都」として名が聞こえております。

周囲に食材の産地が多く、美味しい料理が食べられるのですね。

中でも「全州ピビンバ」という料理が有名です。

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가족회관(カヂョッフェガン、家族会館)に来ました。

全州ピビンバの老舗のお店です。

ビルの階段を上がって二階へ。

入店して席に案内され、全州ピビンバの定食を注文しました。

12000ウォン(約1200円)でした。

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ピビンバの前に、こういう前菜が出るんですね。

いわゆるナムル的な小鉢類ですね。

いずれも日本の漬物に近い、塩分強めの味付けです。

ケランチム(韓国風茶碗蒸し)もありますね。

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ケランチム、ふわふわでめちゃ美味しそうやな、と思っていたら。

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店員さんが来て、なぜか無言でふわふわ度控えめのケランチムと取り替えられてしまいました。

なんでやねん。

理由はわかりません。

いずれにしても、だしの効いた美味しいケランチムでした。

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ナムルの中ではこの百合?の根っこらしいナムル。

これは特に美味しかったですね。

柔らかい中に繊維質の食感があって。

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来ましたな。

真鍮の器に入って供されます。

夢にまで見た全州ピビンバ。

と言ってしまうとおおげさですけれど、かなり以前から、「一度全州に行って全州ピビンバが食べてみたい」とは思っていたのです。

今回、大邱から全州まで行き当たりばったり的にやってきて、全州ピビンバにもありつけることになったわけですね。

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具材の配分が素晴らしいです。

彩り鮮やか。

これらを全て混ぜて一緒くたにして食べるのが全州ピビンバの真骨頂なのですな。

おいしゅうございました。

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ピビンバの具材として入っていて、ナムルにもあったのですけれど、この黄色い寒天状のもの。

緑豆の粉末を固めたものだそうです。

この寒天自体はまったく味がしないのですが、つるつる食感が素敵でした。

まぜまぜしたピビンパの中でもこの食感が活きていたように思います。

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家族会館の全州ピビンバ。

全州の豊かな食文化を、たった一度の食事で何となく理解できたような…。

そんな気分になれること請け合いです。

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『手間のかかる長旅(108) お寺には、精進料理を食べに来た』

如意輪寺境内にある僧坊のひとつで、精進料理がいただける。

入口で靴を脱いで、時子(ときこ)たちは、僧坊の内部に入った。

受付で案内を受け、枯山水の庭園に面した和室一間に通された。

部屋の最中にはテーブルも何も置かれてない、広々とした畳敷きの部屋だ。

畳の上を靴下のつま先で歩いて、皆は壁際にそれぞれ荷物を置いた。

縁側ではガラス戸が閉められていて、ガラス越しに外の風景が見える。

ごつごつとした石が思い思いに庭にたたずみ、その周囲で砂が流れをつくっている。

砂が流れをつくっているように、紋様が刻まれている。

庭とその向こうの山との境目には竹が群生して、それぞれを隔てる壁のようだ。

「ガラス戸開けちまった方が風情あるんじゃない」

美々子(みみこ)が提案したが、冬場の季節柄、誰も賛同しなかった。

「それに閉まってるものを勝手に開けたらいけない」

アリスは静かに言った。

先ほどからアリスが落ち込んでいることを知っているので、美々子もそれ以上抗弁しない。

「お坊さんがお膳を運んで来ますので、お座りになってしばらくお待ちください」

部屋の戸口の外で、案内した女性従業員が声をかけた。

「はーい」

皆が口々に返事する。

ただアリスだけは無言だ。

「でもどうやって座ればいいんだろう」

町子(まちこ)が疑問を口にした。

「何がだよ」

応じながら、もう美々子は畳の上に座り込み、あぐらをかいた。

パンツの生地が収縮して、彼女の脚の形を際立たせている。

「みみこおんに、はじませよ」

立ったまま、ヨンミは控えめに注意した。

「何がだ」

「くご、ちょーちあなよ」

「ふん。こういうところに来たときだけ気取ったって、嘘っぽいじゃん」

言い返す美々子の理屈が、時子は気に入った。

精進料理を食べにお寺に来て、あぐらをかくのは、刺激的でいいかもしれない。

ただそれは、いつも仕草にこだわらない美々子が開放的だからこそ許されるのかもしれない。

自分が場の空気にそぐわない姿勢で座れば、ことさらに皆の不興を買うのでは?

そのように危惧しないでもなかった。

「時ちゃん座りなさいよ」

気付いたら、町子もヨンミもアリスも東優児(ひがしゆうじ)も、車座になって座っていた。

美々子ほどの乱れ方ではないが、それぞれ足を崩して楽な座り方でいる。

時子は皆に習って、車座に加わった。

「お膳が運ばれて来たらお坊さんにひとこと聞いて、いいように陣形を変えましょう」

皆に先んじて、今まで口数の少なかった優児が、実際的な提言をした。

優児を嫌う町子も含めて、皆がうなずいている。

たぶん庭の方を向いて食べたり、皆で向かい合って食べたり、自由なのだ。

それとも、精進料理の作法では、座敷での座り方にも決まりがあるのだろうか。

もしそうなら、僧侶から方針を聞いてすぐに座り方を変えられるように、心と姿勢の準備はしていないといけない。

まさかこうやって自由勝手に座っていたからと言って、お膳を運んできた僧侶にいきなり一喝されるようなことはないだろうけれど…と、そのように考えながら、時子は実際のところ心配になってきた。

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『瞬殺猿姫(53) 牢を出た猿姫の弟、小一郎』

父母と幼い妹を、那古野城内の土牢に残してきている。

小一郎(こいちろう)の足取りは重い。

尾張の支配者、織田弾正忠信勝(おだだんじょうのじょうのぶかつ)の計らいで、旅装束といくばくかの路銀、大小の刀を与えられている。

それでもなお、心もとない。

 

「お主の姉一向は、伊勢路を南に向かっている」

弾正忠の家老、柴田権六郎勝家(しばたごんろくろうかついえ)の屋敷で、配下の小者に身支度の世話を受けながら、小一郎は権六郎の言葉を聞いた。

「わかっているのはそれだけだ」

「わかっているのがそれだけで、私にどうせよと」

自然に言い返していた。

小一郎は、生家から家族共々引き出されて那古野城の土牢に収監されるまで、生まれ故郷の村から出たことすらない。 

「姉を探すどころか、旅すらできる気もしません」

 「お主が姉を探せなければ、家族が土牢で一生を終えるまでだ」

小一郎は眉間に皺を寄せた。

遠江国の奉公先から半年前に出戻った姉は、弾正忠の配下を殺して国外に逃げた。

今その姉のために、一家が皆殺しの瀬戸際に立たされている。

しかし悪いのは姉ではなく、弾正忠だと小一郎にはわかっている。

巷では名君のように持ち上げられ始めているが、彼も民のことを消耗品ぐらいにしか思っていない。

柴田権六郎の口ぶりを聞けば、それはわかる。

「人質を取られてさえいなければ、軟弱な武家など」

呪いの言葉が口から漏れた。

彼に旅装束を着せている小者が、思わず小一郎の顔を見た。

権六郎も、小一郎を見ている。

「お主は度胸がある子供だ」

素直に言った。

小一郎は相手をにらみつけた。

権六郎は、鷹揚な態度のままでいる。

「猿姫という娘は並の者ではないと聞く。お主にも姉と同じ才覚があれば、あるいはな」

母親が前夫との間に生んだ姉のことを、小一郎はよく知らない。

彼が物心つかないうちに、姉の猿姫は遠江国の武士の家に奉公に出された。

ただ母親の言葉によれば、父親は違っても彼と姉とは気質が似ていると言う。

偏屈者だと。

「無礼は許す。お主のその偏屈ぶりを買おう」

権六郎は、小一郎の顔色をうかがいながら、言葉をかけた。

 

「あの武家め…」

憎々しげに独り言を洩らしながら、小一郎は街道を歩いている。

伊勢に行けと言われても、どうしていいものかわからない。

菅笠を被り、腰に大小の刀を佩き、背中に身の回りのものを詰めた袋を背負っている。

決して多くはない路銀。

あてにしているのは、弾正忠から与った通行手形である。

尾張の支配者として近隣で名を上げている弾正忠の名入りの手形なのだが、実際どれほど役に立つものか。

通用するのは、せいぜい尾張と隣国の国境までではないか。

伊勢に入ってからが苦労するはずだ。

何しろ、姉がどこに向かったのかすら小一郎にはわからない。

「我のような子供相手に無体を申しつけて、あいつめ」

柴田権六郎の取り澄ました顔を思い出し、幼い小一郎は毒づいた。

姉の足跡をたどる他、思いつく道筋はない。

木曽川の船着場から、姉と織田三郎は川舟で海に出たという。

まさか自分も川船で海に出るわけにはいかないが、その船着場に行けば、姉の行き先について人から聞けるかもしれない。

小一郎は木曽川に向かった。

 

小柄な小一郎は、狭い歩幅で細かく歩いていく。

往来には小一郎と似た風体の旅人が行き来している。

小一郎のはるか後方を、二人連れの旅人が歩いていた。

武家の子女らしい、背の高い若い女

笠をかぶり、長い杖をついている。

彼女のすぐ後方からついて歩くのは、これも旅装束の若い武士だ。

女の荷物も受け持っているらしく、背中に大きな行李を背負っていた。

「一子姉」

武士が女に小声で話しかける。

「しっ、声を出すな」

女は振り返って武士の頭を笠の上から手で叩いた。

通りがかった他の旅人が驚いて二人を見ながら通り過ぎる。

「声を出したからと、何も人の頭を叩くことはないやろ」

「あの子供に聞こえたらどうする」

忍びの女、滝川一子(たきがわかずこ)とその同胞、滝川慶次郎(たきがわけいじろう)の二人だった。

「こんな遠くを歩いていて聞こえるわけがない」

「そんなことわかるか。何しろあの子はあの猿姫の身内だ…」

言いかけて、一子は片手で口を覆った。

「いけない」

「どうした」

「余計なことを喋るな、あいつらは油断も隙もないから、聞かれても不思議はない」

「あいつらとは」

「柴田権六郎の手の者や」

「だいぶ後ろの方を歩いとるようやが」

「お前、喋るなて」

一子は慶次郎を叱りつけた。

「なんやさっきから、自分ばっかり喋るくせに」

慶次郎は口を尖らせている。 

 

一子と慶次郎のさらに後方から、二人の武士が歩いている。

「あの前を歩いている男女の二人、小僧を追っているように見えるな…」

武士の一人がつぶやいた。

「まさか」

「どこの連中だろう」

彼らの位置からは、前を歩く滝川の男女二人の背中が遠くに小さく見え、さらにそのはるか前を歩く小一郎の姿は豆粒ほどにしか見えない。

「男と女の組み合わせ。まさかとは思うが」

二人は息を飲んだ。

「三郎様と猿姫か」

「まさか。二人は伊勢にいると聞いたぞ」

「密かに伊勢を抜け出して、尾張に舞い戻っていたのでは」

「ありえないことではないが、あの二人の背格好ではあるまい。男はともかく、女の方は猿姫にしては丈があり過ぎる」

「確かに」

猿姫は小猿のように小柄な女だと聞いている。

二人の男女の先を歩く小一郎に、容貌も似ているに違いない。

「では、どこの連中だろう」

「襲って吐かせよう」

「それが早い」

柴田権六郎配下の二人は、うなずき合った。

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2019年春韓国大邱旅行二日目(3)。전주(全州)行き高速バスに乗る。週末の全州は宿に困る

홍콩반점0410(香港飯店0410)で本場の짜장면(チャジャンミョン)を食べることが出来て、満足しましたね。

韓国で、何を食べるか迷ったら、韓国中華。

そういうことにしましょう。

大邱バスターミナルに戻り、13時30分発の전주(全州)行き高速バスに乗り込みました。

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沿道の風景が綺麗だったので、撮りました。

高速バスの車窓から見る韓国の風景、なだらかな山並が続くので見ていて心が和むのですね。

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大邱を出て一時間ほど走ったところで手洗い休憩に入りました。

大邱から全州へ行く道筋のちょうど中ほどにある、거창군(居昌郡)のサービスエリアです。

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大邱もリンゴの産地として有名なのですが、この居昌郡もそうらしいですな。

リンゴをモチーフにした観光施設が併設されてありました。

私はリンゴにはあまり興味が無く、中には入りませんでした。

リンゴは韓国語では사과(サグァ)です。

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韓国製CGアニメ、『Larva』のゲーム機が置いてあります。

私はコインを投入したりはしませんでした。

『Larva』はYouTubeにも公式チャンネルがあって動画が見られます。

下品な描写も多いので閲覧にはご注意を。

このユーモアのセンスに慣れてくると、わりと中毒性のある面白さです。

見てても全然韓国語の学習の役には立ちませんがね、喋る人は出てこないので。

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手洗いを済ませた後に再びバスに乗り、全州に向かいます。

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全州に到着したのが17時前でした。

大邱バスターミナルを出て、だいたい3時間と少しかかりましたね。

着いてすぐ、全州バスターミナルの近辺のモーテル街で今夜の宿を探しにかかりました。

ところが、週末で全州に韓国中から観光客が集まっているらしく、フロントで満室だと断られるのですね。

また部屋はあっても、宿泊料金自体が80000ウォン(約8000円)とか90000ウォン(約9000円)とか高い価格設定の店舗だったりして、私にはちょっと泊まれない、というモーテルだったり。

観光地としての全州の人気、凄いんですね。

ようやく一泊60000ウォン(約6000円)で空き室有りというモーテルを見つけて、宿泊することにしました。

韓国でモーテルに泊まる際の宿泊料として、だいたい30000ウォン前後が私の理想なのですけれど…。

週末の全州はかなり相場が高くなるようですね。

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しかしベッド付きの部屋がもう空いてなかったのか、床に布団を敷いて寝るスタイルの部屋でした。

それもオンドル床ではなく、ホットカーペット

まあ春だし、夏並に暑いのでオンドルか否かにはこの際こだわりません。

そして壁に描かれた写真の風景が素敵だったので、かなり気分を良くしました。

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大型テレビ、パソコンあり。

悪くないです。

掃除もちゃんとされてます。 

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もう17時を過ぎてますが、まだ休むには早い時間です。

観光に出向きます。

ちょっときついのが、モーテル街のある全州バスターミナル界隈から、観光の中心地である「전주 한옥마을(全州韓屋マウル)」のあるあたりまで、南にかなり歩かないといけないんですね。

3キロほどはありましょうか。

路線バスがきっとあるはずなのですが、全州の街をちょっと歩いてみたかったのでした。

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2019年春韓国大邱旅行二日目(2)。수성시장(寿城市場)界隈。東大邱駅前で짜장면(チャジャンミョン)

大邱駅から地下鉄に乗って、3号線の수성시장역(寿城市場駅)で降りました。

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なんでここで降りたのかって言うと、特に理由はないんですね。

数時間で観光して戻って来られる場所が思いつかなくて、市場って駅名に入ってるところで降りれば近くで市場の見物ができるかな、と思ったんですね。

あと「別に無理して短い時間で観光地に行かんでも、街歩きするだけでもええんちゃうか」と思ったわけでもあります。

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3号線の高架ですな。

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やはり大邱では自転車を見かけます。

自転車が一般的ではない韓国では異色の街…なんではないでしょうか。

ただ私が韓国に来て嬉しいのは歩道を走る自転車がいないことだと思っているので、できれば自転車なんて韓国で流行して欲しくないな、なんて勝手な願望を抱いているのですけれども。

できれば廉価なママチャリなんかは、ずっと売らないでもらいたいです。

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この界隈が수성시장(寿城市場)らしいですね。

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観葉植物なんかを扱うお店ですね。

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お餅を売る店の店舗前の路上に野菜が並べてあります。

この商店街の並びには飲食店もあるので、買い物の途中に空腹になれば食事もできます。

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高層集合住宅が多い界隈でもあるので、在来の個人経営の店舗も経営が成り立つんでしょうね。

日本では郊外の大型ショッピングモールに客足を取られて、駅前の商店街がシャッター通りになってしまってますよね。

韓国にも大型ショッピングモールはあるようですけれど、個人経営の集まりの商店街とか零細の路上販売の業者が残っているので、日本の街とはずいぶん違う風景を生んでいるように思います。

しかし韓国でも、そうした従来からの業態では高齢化が進んで跡継ぎもいない…というのは日本と事情が一緒のようですね。

商店街にもお年寄りの姿が目立ちました。

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躍起になって観光名所を巡るわけでもなく、目的地を決めずに外国の街を適当に歩いてみる…というのが一番面白いし、気楽でいいですね。

そう言いながらも、観光名所を消化するような旅がわかりやすいので、おのずとそうなってしまうんですけれどね、私の旅も。

本日も、午後からはそうなってしまいます。

 

そろそろ正午前なので、昼食をとる時間も考えて、寿城市場駅から東大邱駅に戻ります。

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大邱駅南側にあるこのお店…。

홍콩반점0410(香港飯店0410)なんですけれど。

確か、前に東京の新大久保で店舗を見かけたような…と思ったんですね。

というか、韓国にも香港飯店0410の店舗があるとは知りませんでした。

韓国中華料理のチェーン店なんですね。

今回の旅行中に、一度本場の짜장면(チャジャンミョン)を食べてみたかったのです。

ちょうどいい機会です。

席に着いて、짜장면を注文しました。

4500ウォン(約450円)で、かなりお手頃です。

日本にある韓国中華のお店で짜장면を注文すると、800円とかそれ以上することが多いです。

このお店は注文時に席で料金を前払いするスタイルみたいで、店員さんが話しかけてくるのですが私は意味がわからず、首をかしげてばかりいました。

店員さんの冷静で根気強い語りかけの末にその微妙なニュアンスをようやく理解できて、お財布を開いたのでした。

やっぱり韓国語、話せないにしても相手の話していることの意味がわかるぐらいにはならないと、韓国旅の際にいろいろ不便がありますね、

前回の韓国旅行でもそう思ったのですが、今回までになかなか上達しなかったですね。

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定番の付け合せ。

ここはキムチはなかったです。

タクアンと生玉ねぎを食べながら、짜장면に期待しまくっています。

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今回は注文しませんでしたが、탕수육(タンスユク、酢豚)も韓国中華の定番です。

これは日本国内の韓国中華の店でも私は食べたことがありません、高いので。

탕수육は韓国のお店でも高いんですね。

탕수육小が11000ウォン、キャンペーン中は8900ウォン。

これはもうごちそうですね。

機会があればいつか食べてみたい、ぐらいの料理です。

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来ましたね。

玉ねぎを煮詰めた甘辛い味噌ダレを絡めていただく麺料理、짜장면。

美味しくいただきました。

戦後の日本で中華そばがそうだったように、짜장면も韓国家庭で時々おめかしして食べに行く、ちょっとしたごちそうだったらしいです。

今は庶民が気軽に食べられるようになって、いいですね。

韓国ドラマを見ていると、出前料理の定番みたいで、自宅から注文して食べることも多いようです。

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