『Hearts In Atlantis』Stephen King
新しい映画版作品が話題の"IT"に先駆けて、この本を読み終えました。
Stephen Kingの"Hearts In Atlantis"です。
1960年代、ベトナム戦争派兵中のアメリカで子供時代と青春時代とを送った世代を主人公にした、連作長編小説なのですね。
1960年、1966年、1983年、1999年と異なった人物の視点から、それぞれの時代での物語が5つの章で描かれます。
しかし全ての時代に繋がる記憶の源は、1960年。
この時代に生きる少年Bobbyを主人公に、物語は始まります。
独特の世界観を持った厳しい母と二人、経済的に苦しい暮らしを送る、Bobby。
彼の住むアパートの上階に、謎の老人が転居してきます。
風変わりなこの老人Tedと、Bobbyは交流を始めました。
お互いの信頼関係が築かれた頃、アルバイトを探すBobbyに、Tedは不思議な仕事を依頼します。
それは「黄色いコートの連中に気付いたら、知らせて欲しい」というものでした。
謎の集団に追われているTedが、同時に不思議な力を持っているらしいことに、Bobbyは気付きます。
やがてTedを脅かすように、「黄色いコートの連中」の痕跡が街のそこかしこに現れ始めるのでした。
Tedとの交流による不思議な体験を軸にして、Bobbyが生きる1960年の少年時代が描かれます。
この頃にBobbyと関わった友人たちが後の各章では成長し、主人公または重要な役割を担って再登場します。
アメリカのベトナムへの介入が本格化した時代を生き抜く中で、またベトナム戦争終結後長らく経っても心身が傷ついたままで、登場人物たちは1960年の少年時代の記憶を胸に生き抜くのですね。
ベトナム戦争を巡る戦場体験、アメリカ国内での市民同士の対立など。
当時のつらい状況は出てくるのですが、他のKing作品のような恐怖描写は無く、穏やかな気持ちで読み進められる作品です。
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