2022年4月埼玉旅行一日目(4)。喜多院参拝。川越の江戸情緒で徳川びいきになった

川越城跡の周辺には、川越藩時代からの史跡も多いです。

その辺りを順次観光していきます。

川越城の田曲輪門跡から南に500メートルほど歩きました。

喜多院成田山別院の参道です。

川越別院成田山本行院です。

幕末に千葉の石川照温という人物が、盲目になったことで自殺を考えた。

しかし自殺の直前、不動明王の姿が見えたことで信仰に目覚めた。

そのうち視力が回復し始めた照温は、当地で廃寺になっていた本行院を復興し、成田山の別院としたということです。

そういうわけでご本尊が不動明王、眼病のご利益があるということですね。

お参りしました。

さらに参道を歩いて、喜多院に着きました。

天台宗の古刹です。

平安時代最澄の弟子にあたる慈覚大師円仁(じかくだいし えんにん)の開基で、当初は無量寿寺という寺院だったそうです。

室町時代関東管領上杉氏と小田原北条氏の戦乱の中で交配してしまいますが、後の江戸時代には天台宗の僧侶で徳川家康の側近だった天海大僧正の手で復興されます。

そして家康から「東叡山喜多院」と名付けられ、関東の天台宗の本山に据えられたということです。

東叡山というと東京上野の寛永寺が著名ですが、寛永寺天台宗の関東総本山になる以前には喜多院がその任を負っていたという訳なのですね。

現在の山号は星野山。

別名、川越大師の名でも知られているそうです。

今でも広い境内の中に寺院の建築などが多数残っており、観光名所でもあります。

ちょうど私が来た頃、どこかの女子高の生徒さんたちの修学旅行なのか、若い女性たちが集団で見学に来ていて、私もちょっと写真が撮りにくい状況ではありました。

朱塗りの多宝塔です。

先に見た三芳野神社の本殿と近いカラーリングですね。

大きな本堂です。

特筆すべきは、この本堂に江戸城から移築された客殿が繋がっており、その客殿の中に「徳川家光誕生の間」と「春日局化粧の間」があるのです。

これらと境内にある「五百羅漢」を合わせて、500円の拝観料を納めて見学できます。

写真は撮っていませんが、客殿を拝観してきました。

徳川家光と、その乳母の春日局が実際にいた場所に自分が立っているというのは不思議な気持ちがしましたね。

客殿から望める中庭の庭園も綺麗でした。

五百羅漢を敷地の外から撮影しました。

江戸時代中期に志誠(しじょう)という僧侶の発願で、喜多院の僧侶たちと土地の百姓らが少しずつ羅漢の石像を納めて、五百という羅漢が揃ったということです。

土地の信仰の集まる場所なのですね。

この慈眼院というお堂は、天海大僧正の入寂後に、徳川家光の命によって天海の木像を納めた場所であります。

喜多院の境内の南側に、仙波東照宮があります。

久能山東照宮から日光東照宮まで徳川家康の遺体を運ぶ途上、ここで数日間遺体を安置したことに由来する東照宮であるそうです。

私はわりと東照宮が好きなのですが、いろんな土地に自分の知らない東照宮があるので驚かされます。

ここの拝殿には有名な絵師の岩佐又兵衛(いわさ またべえ)の手による三十六歌仙の額絵が奉納されていましたが、現在は埼玉県立の博物館で管理されているようですね。

岩佐又兵衛は摂津の戦国武将の荒木村重(あらき むらしげ)の子で、村重の謀反を受けて織田信長が村重一族を皆殺しにする中、幼児だった又兵衛は乳母の手で何とか落ち延び、成長して絵師になったのでした。

晩年を江戸で暮らしています。

彼の絵で有名なのは、源義経の母が旅の途中で野盗に殺害されるくだりを描いた「山中常盤物語絵巻」という作品で、残酷描写といいますか、非常に刺激的なのですね。

この喜多院三十六歌仙図も、又兵衛の代表作として著名みたいです。

 

ちなみにネットで知ったのですが、童謡の「あんたがたどこさ」の「せんばやまにはたぬきがおってさ」のせんばやまを、この仙波東照宮が立つ仙波山だとする説があるらしいですね。

戊辰戦争の際、彰義隊の残党を追ってこの仙波山に駐屯した熊本藩出身の兵に、地元の子どもが出身地を尋ねた歌だと。

喜多院仙波東照宮も徳川家にとって重要な場所であったのに、新政府軍の兵士の拠点にされてしまっていたのだとすると、時勢の残酷さというか、何か無残なものを感じます。

川越で江戸情緒を味わい、私も徳川寄りの気分になっているようです。

以前には後水尾天皇直筆の扁額が掛かっていたという随身門から、喜多院の敷地を辞しました。

令和の時代にあっても江戸情緒の豊かな川越を去り、私は次の土地に向かいます。

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